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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)

  • 公開日: 2022/12/23

PSQIは何を判断するもの?

 ピッツバーグ睡眠質問票(pittsburgh sleep quality index:PSQI)とは、睡眠障害の程度を評価するためのスケールです。睡眠障害の重症度を評価するためのスケールはさまざまありますが、中でもPSQIは多くのエビデンスが集積されており、信頼性や妥当性が高く、世界的に広く用いられています。

 PSQIにより睡眠障害の状態を包括的にスケーリングすることで、重症度判定やスクリーニングが可能となるだけでなく、睡眠障害の経過を評価して治療効果の判定をする際にも役立つとされています。

 ただし、PSQIによるスケーリングは患者さん自身で回答を記入する自記式になるため、使用する患者さんには一定の認知力や理解力が必要となる点に注意が必要です。

PSQIはこう使う!

 PSQIでは、過去1カ月における睡眠の質・入眠時間・睡眠時間・睡眠効率・睡眠困難・睡眠薬使用の有無・日中覚醒困難の7項目について、主観的な評価を自記式で回答します(表)。

 それぞれの項目には0~3点が配分されており、合計点(0~21点)を算出して評価を行いますが、合計点が高いほど睡眠障害は重度であると考えます。カットオフ値は5.5点で、6点以上の場合は睡眠障害があるとされます1)、2)

 診断時やスケーリング時のみ行うのではなく、繰り返し実施することで睡眠障害の経過観察に用いたり、睡眠障害のリスク要因を検討する際に活用したりするのもよいでしょう。

表 PSQI

PSQI
Doi Y,et al:Psychometric assessment of subjective sleep quality using the Japanese version of the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI-J) in psychiatric disordered and control subjects. Psychiatry Res 2000;97 (2-3):165-72. /土井由利子,他:ピッツバーグ睡眠質問票日本語版の作成.精神科治療学 1998;13 (6):755-69.より引用

PSQIの結果を看護に活かす!

 入院による環境の変化、病状に対する不安などにより、入院中の患者さんは睡眠障害を起こしやすい状態です。なかなか寝付けない、眠りが浅いといった、睡眠障害が疑われる患者さんの看護に当たるときは、PSQIを用いて睡眠障害のスクリーニングを行い、状態把握やケアに役立てるとよいでしょう。

 光や室温の調整などの環境整備をしたり、生活面での指導を行ったりしても睡眠障害が改善しない場合や、睡眠障害の重症度やタイプに変化がみられる場合は、薬剤の使用など治療方法の見直しが必要となることもあるため、速やかに医師に報告します。

引用・参考文献

1)Doi Y,et al:Psychometric assessment of subjective sleep quality using the Japanese version of the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI-J) in psychiatric disordered and control subjects. Psychiatry Res 2000;97 (2-3):165-72.
2)土井由利子,他:地域住民を対象としたDSM-IV診断基準による睡眠障害の有病調査について.精神医学 1999;41(10):1071-9.
●尾﨑章子:睡眠.地域看護に活用できるインデックス.日本地域看護学会誌2016;19(1):84-7.
●許斐 氏元,他:ピッツバーグ睡眠質問票日本版を用いためまい患者における睡眠障害の検討.Equilibrium Research 2014;73(6):502-11.
●厚生労働省:ピッツバーグ睡眠質問票を指標とし「睡眠の質」と健康アウトカムの 関連を検討するシステマティックレビュー.(2022年12月5日閲覧) https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192031/201909025A_upload/201909025A0005.pdf
●山本裕晃,他:理学療法学生の臨床実習時と学内教育時の睡眠習慣の比較-PSQI-Jによる検討-.日本リハビリテーション教育学会誌 2019;2(4):24-9.

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