知っておきたい! 洗浄剤を使ったほうがよい場合と使わないほうがよい場合【PR】
- 公開日: 2023/1/31
在宅での洗浄と保湿のポイントについて解説します。具体的なポイントを押さえておきましょう。
皮膚の清潔を保つために洗浄を行いますが、洗浄剤を使ったほうがよい場合と、使わないほうがよい場合があれば教えてださい。
しっかりと洗い流せる場合は洗浄剤を用いて洗いましょう。
洗浄の基本
洗浄の目的は皮膚表面に付着した汚れを取り除くことです。洗浄剤の成分が形成するミセルが汚れを吸着します。ミセルが洗浄力を発揮できる濃度に達すると泡が立ち始めます。洗浄剤をよく泡立てきめ細かな泡にすると、泡が毛穴やシワまで入り込んで汚れを浮き上がらせることで洗浄力が高まります。洗浄剤は液体でも固形でもかまいませんが、手のひらやネット、ビニール袋などで十分に泡立てるようにします(図1)。泡で出てくるポンプタイプの洗浄剤は泡立てが省けとても便利です。洗浄剤を皮膚に直接つけて擦って泡立てようとしたり、汚れをこすり取ろうとしたりすると、角質が剥がれて皮膚のバリア機能が破綻してしまいます。摩擦しないよう泡で優しくていねいに洗うのが基本です。
図1 ビニール袋で泡立てる方法
傷がある場合、傷のまわりの皮膚を泡でていねいに洗い、清潔にします。傷の周囲に存在する角化細胞が遊走し肉芽を覆うことで上皮化して傷が縮まっていき、やがて治癒します。治癒を促すためにも傷の周囲は清潔に保つようにします。弱酸性の石けんや保湿成分が入った石けんならあまりしみないのですが、アルカリ性の石けんだと、どれだけ泡立ててもしみます。経済的に可能であれば、しみない洗浄剤の購入をすすめてみてもよいでしょぅ。ただし、ポケットを形成している褥瘡の創内部の洗浄は洗浄剤を使わないのが原則です。
洗い流せない場合は洗浄剤は使わない
清拭をする際、石けんで洗ってタオルで拭き取るという方法は行っていません。拭き取るだけでは石けん成分が皮膚に残り、それが真菌や細菌繁殖の温床になってしまうからです。在宅では、ご自身で入浴できなくても、訪問入浴サービスを受けているケースも多いと思います。陰部洗浄は1日1回洗浄剤で行い、入浴しない日は清拭で清潔を保つようにするとよいと思います。保湿剤や外用薬も通常の清拭で十分に落とせると思いますが、軟膏などが固着しているようなら、局所的に石けんを使い、シャワーボトルでよく洗い流すとよいかもしれません。気管切開部周囲の皮膚は、石けんで洗ってお湯を流すことはできないので、拭き取りタイプの洗浄剤を使うとよいでしょう。
清拭や入浴などの清潔ケアには、皮膚を清浄に保つ以外にも、爽快感を得ることや皮膚を観察するといった目的があります。在宅療養者の疾患や状態によって、入浴、部分浴、清拭といった方法や洗浄剤を使い分ける目的別な清潔ケアでよいと思います。
保湿は、目立った乾燥がなければ必要はないのでしょうか。その場合、入浴後のみの実施で効果はみられるものでしょうか。
洗浄後はできるだけ保湿をするのがよいでしょう。
洗浄後に保湿する理由
皮膚を洗浄すると、汚れだけでなく皮脂膜も取り除かれてしまいますから、保湿剤を塗ることで皮膚の生理機能を正常に保つことができるため、できるだけ塗ることをお勧めします。シャワーやお風呂、洗顔などの後タオルで拭いて一度皮膚が乾くと、身体が温まっている分、皮膚から水分が蒸発してどんどん出ていき乾燥してしまいます。ですから保湿剤は、入浴などの後5〜10分以内に塗ることが大切です。
皮膚は濡れているときに一番水分を吸収します。その点からも保湿剤入りの洗浄剤を使えば、洗いながら保湿ができるので一石二鳥です。在宅療養者やご家族から何がよいかと聞かれたときは、保湿剤入りの洗浄剤もよいですよとお伝えしています。また保湿剤入りの入浴剤や、お湯から出て身体が濡れているときに塗る保湿剤などもあり、それらも便利だと思います。
チューブ入りのクリームなどは、人差し指の第一関節から先までの長さくらい(1FTU=finger tip unit)を、ローションなどは1円玉大くらいを手のひらに出して、それを両手にのばして塗っていきます。一般的に1FTUは約0.5gで手のひら2枚分とされています。そのうえでまだ乾いていると思う部分があれば追加して塗っていきます。塗るときは毛の流れに沿って、こすらないようにやさしく塗るようにします。たっぷり塗ればよいというわけではなく、塗る量よりは塗るタイミングが大事で、入浴などの後できるだけ早く保湿剤を塗るのがポイントです。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
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