【連載】脳神経外科看護のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!
脳室ドレナージで血性髄液の排出が持続。すぐにクランプしたほうがよい?
- 公開日: 2025/12/2
脳室ドレナージの目的
脳室ドレナージは、脳出血やくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などによる髄液の循環障害で水頭症を発症した患者さんに対し、髄液を排出させて髄液圧(頭蓋内圧)をコントロールしたり、脳室内の出血の排出をドレーンにより促したりするために行われます。
救命のための緊急的措置や脳腫瘍による急性水頭症で意識障害を伴う場合は、腫瘍の摘出術に先んじて、脳室ドレナージが施行されることもあります。
血性髄液の排出が持続した場合の対応
血性髄液の排出が持続していたとしても、すぐにクランプすることは原則として避けるべきと考えます。
原因により対処方法が変わるため、血性髄液の排出がみられた場合には、まず、その原因を考える必要があります(表)。看護師としては、意識レベルや神経症状に変化がないかを観察するのとあわせて、ドレナージ回路(設定圧、高さ、空気孔の閉塞、接続のゆるみ・外れ、刺入長など)を確認します。さらに、頭蓋内圧が高くなっているのか、もしくは低くなっているのかも確認し、速やかに医師に報告します。そのうえで、必要であれば、CTなどにより頭蓋内の状態の評価が行われます。
また、血性髄液の排出が持続しているからといってドレーンをクランプしてしまうと、頭蓋内に新たな出血や再出血が生じている場合では、髄液が排出されなくなり、頭蓋内圧が急激に亢進し、脳ヘルニアを起こすリスクが高まります。この点からも、すぐにクランプすることは避けるべきといえます。
表 血性髄液が排出される主な原因
| 主な原因 | 考えられる理由 |
|---|---|
| 髄液中に残存していた血液が排出された | ●体動などにより、脳室内において髄液中の血液の位置が変化した ●ドレーンが抜けかけるなどして、脳室内でドレーン先端の位置が変わった |
| 再出血が起こった | ●頭部の位置の変化、ドレーンの高さの変化、クレンメの操作ミス、空気孔の閉塞によるオーバードレナージ ●術後出血 ●出血源からの出血(出血源の未処置もしくは出血源の処置不完全) |
