【連載】ICU・HCU看護のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!
人工呼吸器の換気方式・モードの特徴と観察ポイントについて知りたい!
- 公開日: 2026/3/13
PCV(圧規定換気)、VCV(量規定換気)
まず、人工呼吸器が呼吸をサポートする際のベースとなる設定として、呼吸を行う際の空気の「圧力」で管理するのか、あるいは「換気量」で管理するのかを決定します。
圧力で管理する「圧規定換気(Pressure Control Ventilation:PCV)」は、設定された吸気圧に到達するまで空気を送り、その圧力を一定時間維持することで換気を行う方法です。メリットは、吸気圧が決まっているため、肺に過剰な圧力がかかりにくく優しい点にあります。デメリットとしては、肺コンプライアンスや気道抵抗によって、設定した圧力では十分な換気量が得られず、1回換気量が変動しやすいことが挙げられます。
一方、換気量で管理するのが「量規定換気(Volume Control Ventilation:VCV)」で、設定した換気量を確実に肺へ送り込む方法です。1回換気量が保証されるため、二酸化炭素の排出量を一定に保ちやすく、呼吸管理がしやすいという利点があります。しかし、肺コンプライアンスが悪化したり、気道抵抗が高まったりした場合でも、設定した換気量を送り込もうとする特性があります。そのため、肺や気道に過剰な圧力がかかり、肺損傷を招くリスクがあります。
A/C(補助/調節換気)
A/C(Assist/Control)モードは、呼吸回数、吸気時間、吸気圧(PCVの場合)あるいは1回換気量(VCVの場合)を設定するモードです。
このモードの特徴は、患者さんの自発呼吸がない場合は設定したとおりに強制換気を行い、自発呼吸を検知した場合には、そのタイミングに合わせて設定した条件で補助換気を提供する点にあります。つまり、自発呼吸を検出しても検出しなくても、すべての呼吸が設定値までフルサポートされるということになります。そのため、患者さんの呼吸リズムが人工呼吸器と同調しているかの確認に加え、自発呼吸が多い場合に過換気になっていないかも注意深く観察していく必要があります。
SIMV(同期的間欠的強制換気)
SIMV(Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation)モードは、一定回数の「強制換気」と患者さん自身の「自発呼吸」が両立しているモードです。強制換気に関する設定と、自発呼吸をサポートする際の設定を組み合わせて管理します。
患者さんの自発呼吸がない、あるいは設定した換気回数よりも少ない場合は、人工呼吸器が設定したとおりに強制換気を行います。一方、患者さんが設定回数以上の自発呼吸を行っている場合は、設定回数分までは自発呼吸に合わせて強制換気を行いますが、それを超えた分の呼吸については強制換気を行わず、プレッシャーサポートなどで助けながら、患者さんの自発呼吸に任せる形になります。
強制換気のタイミングと自発呼吸のタイミングが合っているか、自発呼吸時の換気量が十分確保されているかなど、人工呼吸器との同調性を継続して観察していきます。
CPAP(持続的気道陽圧)
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)モードは、患者さんの自発呼吸を最大限活かし、吸気・呼気の両方を通じて常に一定の陽圧(PEEP)を気道にかけ続けるモードです。PEEPによって肺胞の虚脱を予防し、酸素化の改善につなげることができます。
このモードは、常に一定の圧をかけて自発呼吸を支える仕組みのため、人工呼吸器とのタイミングが合わないといった同調性について心配する必要はほとんどありません。その代わり、換気の維持を患者さんの呼吸に依存するため、適切な呼吸回数が保たれているか、そして、1回あたりの換気量が十分確保されているかどうかを確認する必要があります。
APRV(気動圧開放換気)
APRV(Airway Pressure Release Ventilation)モードは、高い気道内圧を一定時間維持したあと、短時間だけ低い気道内圧に切り替えるモードです。高い圧で肺が膨らんだ状態を維持しつつ、短時間の圧開放によって二酸化炭素の排出(換気)を促します。
このモードは、高い圧をかけている時間が長いため、虚脱しやすい肺胞を広げておく力が強く、酸素化の改善に優れているといえます。どのタイミングでも自発呼吸が可能ですが、圧の切り替わりは人工呼吸器が設定したとおりに行われるため、患者さんの呼吸と同調しているか、不快感がないかなどを確認する必要があります。
いずれのモードにおいても、吸気圧や換気量の変化に常に注意することが重要です。SpO2や呼吸音の確認はもちろん、補助呼吸筋や胸郭の動きなどから、患者さんの呼吸がサポートされているかをアセスメントしていく必要があります。血液ガス分析の推移も患者さんの呼吸状態を評価するのに欠かせないデータですが、それだけに留まらず、全身状態を踏まえて看護を提供していくことが求められます。
