基礎から解説!いますぐ実践できる「がんの緩和ケア」
記事数:14
"地域の一般病院でがんの患者さんをみる看護師向けに、がんの症状緩和ケア実践の基礎を紹介します。がんの治療開始当初から進行期にかけて起こるさまざまな症状のうち、看護師による観察・対応が緩和ケアの効果へ特に重要な役割を果たすものピックアップし、症状が発生するしくみ、患者さんの苦痛の把握、緩和のための治療・処置、看護実践のポイントを、病院臨床の実際に合わせて解説します。"
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"地域の一般病院でがんの患者さんをみる看護師向けに、がんの症状緩和ケア実践の基礎を紹介します。がんの治療開始当初から進行期にかけて起こるさまざまな症状のうち、看護師による観察・対応が緩和ケアの効果へ特に重要な役割を果たすものピックアップし、症状が発生するしくみ、患者さんの苦痛の把握、緩和のための治療・処置、看護実践のポイントを、病院臨床の実際に合わせて解説します。"
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<家族ケア・遺族ケアとは>患者さんを抱える家族の負担・ストレスへの支援 患者さんを抱える家族への精神的ケア がんの診断から始まり、初回治療、治療継続、再発、治療継続困難、終末期に至るまで、家族は患者さんとともにがんのプロセスを歩みます。がんの進行から終末期に
<せん妄とは>急性で一時的な精神症状であり、がん終末期で多く出現する がん患者さんに多くみられる精神症状に、せん妄があります。急性に発症し一時的で、軽度から中程度の意識混濁に興奮・錯覚や幻覚・妄想などの認知・知覚障害を伴う意識障害です。 終末期せん妄の発
<呼吸困難とは>患者さんの主観的な「呼吸時の不快な感覚」 がん患者さんにおいて、呼吸困難は痛みと同様に大きな苦痛を伴う症状です。呼吸困難は、末期がん患者さんの50%、肺がん患者さんの70%に生じます1)。呼吸困難は、「呼吸時の不快な感覚」と定義される主観的な症
<倦怠感とは>終末期の多くのがん患者さんにみられる持続した消耗感 米国NCCN(National Comprehensive Cancer Network)によると、がんに伴う倦怠感は、「最近の行動に合致しない、日常生活機能の妨げとなるほどの、がんまたはが
<嘔気・嘔吐とは>さまざまな要因が複合し、終末期の半数で起こる症状 嘔気・嘔吐は、終末期のがん患者さんの半数ほどにみられ、痛みと同様に非常に苦痛な症状です。原因には以下のようなものがあり、これらが複合していることが多くあります(表1)。 表1 進行が
<食欲不振とは>原因は多岐にわたり、診断時から終末期まで高い割合で起こる 食欲不振とは、食欲、つまり食物を摂取したいという生理的欲求が低下した状態をいいます。 新しくがんと診断された患者さんの半数に出現し、進行がんの病期にある患者さんでは70~80%と
<不安・不眠とは>強いストレスを受けた際に生じ、がん患者さんでは適応障害につながる例も多い 不安は、人間の感情の1つで、「脅威を感じる状況では正常な情動反応」1)です。 ほとんどのがん患者さんは、がんの診断から続く各過程で不安や不眠を体験します
<オピオイドによる副作用とは>すぐ起こる便秘、嘔気のほか、眠気などへの副作用対策が必須 がんの痛みの緩和には、オピオイドを使用する場合があります(本連載第2回「がんの痛みの種類と原因ごとの鎮痛薬を知ろう」に詳述)。オピオイドの三大副作用には、便秘、嘔気、眠気が
<末梢神経障害とは>しびれや痛みとして現れ、QOLに及ぼす影響が大きい 化学療法においては、末梢神経障害(しびれ)の副作用を起こす薬剤を使用することがあります。末梢神経障害は、がん患者さんの生活に影響を及ぼす不快な症状の一つです。化学療法による末梢神経障害は、
<口腔粘膜炎とは>抗がん剤や頭頸部放射線によって生じる口腔粘膜の病変 一般的に、口腔粘膜のただれ、潰瘍形成は口内炎といわれますが、抗がん剤治療や頭頸部領域への放射線治療などのがん治療に付随して生じる口腔粘膜の炎症、潰瘍形成といった粘膜の病変は、「口腔粘膜炎」と
<骨転移の痛みとは>骨転移の起こりやすいがんと部位 骨転移は、がん細胞が原発巣から遊離し、血管内へ浸潤、骨に着床して適応・増殖することで起こります。がん細胞自体が骨を直接破壊することはありません。 骨転移の頻度が高いのは、乳がん、前立腺がん、甲状腺がん
<がんの痛みとは>がんの痛みにはどのような種類があるか 痛みとは、「組織障害が起こる、または起こりそうなときに表現される不快な感覚体験や情動体験」(国際疼痛学会)と定義されます。痛みの原因を表1に、痛みの分類と性状については表2に示します。 表1 がん患
緩和ケアの定義は進化している 緩和ケアについて、世界保健機構(World Health Organization:WHO)は、1990年に「治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的なケアである」「末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対しても治療
がん対策30年。がんと共生するための緩和ケアが整備されてきた わが国において、がん(悪性新生物)は1981年より死因の第1位であり、2016年には37万人以上が亡くなり、生涯で2人に1人ががんに罹患すると推計されています。こうしたことから、依然として、がんは私たち