第12回 せん妄の幅広い症状から異変をキャッチする|終末期の症状緩和⑤
- 公開日: 2018/12/4
<せん妄とは>
急性で一時的な精神症状であり、がん終末期で多く出現する
がん患者さんに多くみられる精神症状に、せん妄があります。急性に発症し一時的で、軽度から中程度の意識混濁に興奮・錯覚や幻覚・妄想などの認知・知覚障害を伴う意識障害です。
終末期せん妄の発生率
せん妄は、がんの全病期を通じて、数%~30%程度の発現率と報告されており、終末期になるにつれその有病率は増加し、死亡直前には約90%の患者さんが不可逆性のせん妄を経験するともいわれています1)。
終末期のせん妄の原因は多要因によることが多いです。30~50%が回復する一方で、50~70%は回復しないままに死亡にいたります2)。終末期の治療抵抗性のせん妄の場合は、鎮静を検討する場合もあり、患者さん・家族の意思確認、医療者・家族間での十分な話し合いが必要です。
せん妄の主な発症要因
3つの因子が複雑に重なり合い、せん妄が発症します。
1 準備因子:せん妄の準備状態になるもの
・高齢
・脳血管障害の既往など脳の器質的病変の存在
・認知症、ないしその前駆状態(認知機能障害)
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