第3回 骨転移の痛みには鎮痛薬と放射線治療、動作の工夫を|がんの痛みと緩和②
- 公開日: 2018/8/28
<骨転移の痛みとは>
骨転移の起こりやすいがんと部位
骨転移は、がん細胞が原発巣から遊離し、血管内へ浸潤、骨に着床して適応・増殖することで起こります。がん細胞自体が骨を直接破壊することはありません。
骨転移の頻度が高いのは、乳がん、前立腺がん、甲状腺がん、肺がんなどです(表1)。一般的に骨転移が起こりやすい部位は、腰椎、胸椎、頸椎、仙骨の順に多く、末梢骨への転移はまれです。
骨転移が起きると、痛み、病的骨折、脊髄圧迫・麻痺などが生じます。
表1 がんの骨転移:疫学
Selvaggi G, et al : Crit Rev Oncol Hematol, 2005. より転載一部改変
<アセスメント>
転移部位ごとに、痛みが増強する姿勢・動作を確認する
まずは、痛みの出現が安静時か体動時かについての評価をします。
また、転移部位への荷重が最小限になるように工夫する必要があります。どのような姿勢や動作によって疼痛が増強するのかを観察し、疼痛が増強する姿勢・動作をアセスメントします。
例えば、下肢転移では荷重時、脊椎転移では体幹部の前後屈や捻転時に痛みが出現します。
<骨転移の痛みの治療>
痛みの種類に応じた鎮痛薬と放射線による緩和治療
炎症性疼痛と神経障害性疼痛
骨転移の初期は、がんの浸潤に伴う炎症によって骨膜などが刺激されるために炎症性疼痛が生じます。これは、傷害受容性疼痛の体性痛(表2)です(同連載第2回に詳細)。消炎鎮痛剤やオピオイドがよく効きます。転移巣が拡大すると骨破壊の進行により知覚神経の圧排・損傷が生じ神経障害性疼痛を合併します。神経障害性疼痛に対しては、鎮痛補助薬を併用します。