【連載】やさしく学ぶ 大腸がん経口抗がん剤の副作用マネジメント
第8回 「肝機能障害」をマスターしよう
- 公開日: 2014/6/25
スチバーガ®の副作用の1つに肝機能障害があります。頻度は高くないものの、肝機能障害は重篤化すると死亡に至ることもあるので注意が必要です。第8回では、肝機能障害の症状や発現時期と頻度、対処法を学びましょう。
肝機能障害は重篤化する場合もあるため、定期的な検査が必要です
スチバーガ®を投与した場合、肝機能検査値のAST(GOT)、ALT(GPT)の著しい上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあり、頻度は低いですが、劇症肝炎、肝不全による死亡例も報告されています。
肝機能障害の症状としては、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染などがあります。患者さんには、これらの症状をスチバーガ®の投与前に説明し、症状があらわれたらスチバーガ®の服用を中止して、すぐに医師へ連絡するよう伝えましょう。
しかし、無症状のうちに進行することもあるため、定期的な肝機能検査が重要となってきます。大腸がんの国際共同第Ⅲ相臨床試験では、図1のように、スチバーガ®投与後最初の2サイクルにおいては週1回、その後6ヵ月までは2週間に1回の頻度での検査が設定されていました。実臨床でも定期的なモニタリングが有用ですので、患者さんには決められたスケジュールで検査を受ける必要があることをしっかりと伝えることが大切です。
図1 肝機能検査(ALT、AST、ビリルビンの検査)のスケジュール
(国際共同第Ⅲ相臨床試験)