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【連載】山内先生の公開カンファランス

第4回 どうする? 吸引後にSpO2が上がらない患者さん(その2)

  • 公開日: 2014/7/4
  • 更新日: 2020/10/22

今回は、みなさんがどうアセスメントしたのか、コメントを見ていきましょう。ナース専科マガジン7月号では公開しきれなかったコメントを掲載していきます。

前回記事はこちら
どうする? 吸引後にSpO2が上がらない患者さん(その1)


事例

重症心身障害者の患者さんで、呼吸不全により気管切開し、人工呼吸管理を導入していました。

ある日、訪室するとぜろつき(痰がからんだような音)が認められ、分泌物が溜まっていると判断して吸引を実施。吸引後、人工呼吸器に接続してもSpO2が上がりませんでした。

この患者さんの普段のSpO2は90%後半を維持していますが、吸引後は88〜89%まで低下していました。

私が実際に遭遇するのは初めてでしたが、吸引するとSpO2が下がったという話を以前、聞いたことがありました。

→SpO2が上がらない患者さん、あなたならどうする?


山内先生の解説を先に読みたい方はこちら
山内先生の解説

「どこかに異常がないか呼吸音を聞くなど、アセスメントをする」を選んだ人のコメント

  1. 以前にも酸素飽和度が低下したのであれば、その際には何かなかったのか気になります。ただ今はその情報がないので自分が出来る限りの事を行い、その情報を元に医師に上申するかなど判断するかなと思いました。(ちゅんさん)

  2. 呼吸音の聴取。エア入り。肺雑音。(s-na0さん)

  3. 人工呼吸器を接続したり、吸引を行ったりしてもSpO2が回復してないため、呼吸器に異常があると考え、どこに異常があるのか判断するために呼吸音を聴く必要があると思った。(ヨープルさん)

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  1. 聴診で無気肺の確認・人工呼吸器回路とアラーム停止機能の確認・SpO2測定器の精度確認・チアノーゼの確認・原因が見当たらなければ、人を呼んで用手法で呼吸アシスト。(琉パパさん)

  2. 吸引をして人工呼吸器に接続した、ということは痰からみの音が聴こえなかったと判断し、回路に異常があるのではと前回は判断しましたが、今一度呼吸音の確認が必要と理解できたから。(747-400)

  3. まずは、急激な増悪でなければ、自分でアセスメントが第一だと思いました。
    吸引により、喀痰がどの程度吸引できたか、吸引時に目視で量を見ていると思います。呼吸器装着後は、ぜろつきが消失したかは聴診器を使わなくてもわかると思います。ある程度吸引できて、ぜろつきが消失しているなら、直ちに再度吸引する必要性はないと私は考えます。SpO2の低下の程度にもよりますが、今回のように90%近くあるなら、聴診器で呼吸音を聞いたり、アラームが鳴らないまでも微妙に吸引後の刺激で呼吸器と同調できていないのかもしれないなど、まずは、自分で評価できると考えます。
    当然、人工呼吸器の回路に不具合がないかも確認しますが、吸引がきっかけの回路トラブルなら、接続不良がほとんどだと思うのです。ただ、吸引直後の再装着した後は、リークがないか、自分の耳や呼吸器のモニターを見てTVの著しい低下がないかなどもその都度確認しているので、何かトラブルがあって、そこで初めて回路を確認するのではないと思います。
    また、吸引後は、呼吸器にもよりますが、最近の呼吸器なら、吸引前後はFiO2:100%でしばらく換気してくれるので、気道内圧の著しい上昇やファイティング、血行動態の急性増悪がない限り、用手換気に切り替えるよりも、アセスメントを優先できると思いますし、すぐに人を呼ぶ必要性もないと思いました。患者さんの病態によっては、体位や血圧などで、吸引後には少しFiO2の回復に時間がかかるケースもあるので、まず、アセスメントして大きな問題がなく、じわじわと酸素化が改善傾向にあるなら様子観察もできると思いますが、それはアセスメントを行った後の話だと思いました。(あきらさん)

  4. 下がるには何らかの原因があるので、それが何かを、まずは基本の肺のAir入りを確認しました。(かめさん)

  5. 聴診器を胸に当て、気管支音・呼吸音を聴取する。副雑音の有無を確認。音を分析する。(manaさん)

  6. 「吸引するとSpO2が下がった」という情報が追加されて、「では、今回も異常ではないのか?」というアセスメントの選択肢は増えても、基本的な考え方に変わりありません。「いつも通り」と安易な判断はしません。どこかに異常がないかは、毎回確認します。今回は、本当に異常があるかもしれないから。(ポンコツナースさん)

「人工呼吸器の回路を確認する」を選んだ人のコメント

  1. 私は、吸引後なので分泌物は取り除かれたと考えます。そして次に考えたのは、(1)しっかりサチュレーションモニターが装着されているか、(2)もし分泌物が残っているとしたらどの部位か、です。
    (1)に関しては患者さんの指先確認→装着しなおしと進みます。(2)の場合、残っていてもすぐに吸引せず体位交換します。そのあとに、呼吸器の回路を確認する順番です。(みちよさん)

  2. 吸引直後の低下なら、吸引操作でそく肺などの異常をきたす可能性よりも回路の不具合を疑うほうが、自然だと思うから。器械の接続ミスはありがちなので、まずは器械の確認をし、それから全身状態をしっかり観察する。(m.mさん)

  3. 呼吸状態が急激に悪化しない限り、やはり最初に回路にトラブルがないかを確認する。(ZR400さん)

  4. 吸引後にSpO2が低下するのは吸引により一時的に酸素化が不十分なことになることにより起こることが多い。また、吸引時に接続をさわったり、咳そうにより外れることもあるため、回路の点検を迅速に行う。(みずさん)

  5. すぐにサチュレーションが上がらない方もいるので、その他の原因はないか(呼吸器回路が外れていないか、異常はないか、モニターの波形に代わりはないか、など)調べる。特に異常もなく上がらない場合は、痰がまだ貯留しているのか呼吸音を聴取、サチュレーションがさらに下がっていなければ、再度吸引も考慮。それでもだめなら応援を呼びます。(snowさん)

  6. 吸引してSpO2が下がるのであれば、すぐに人を呼ぶのは早いと考え、まず回路確認、異常音の確認が必要。(ミミさん)

  7. 呼吸器装着中なので、まずは回路を確認してから異常なければ呼吸状態をみます。(ママさん)

「用手換気に切り替えてすぐに人を呼ぶ」を選んだ人のコメント

  1. 吸引後にSpO2が下がってしまうのは吸引後に肺胞虚脱しSpO2が上がらなくなってしまったためと考えました。そのため、まずは用手換気に変えて換気を行う必要があると思いました。(かがちさん)

  2. どこに問題があるかアセスメントをすることが必要であるが、まずは、SpO2を上げないといけないと思うので、用手換気をして人を呼び、回路の確認などをしてもらい、アセスメントをする。(childrenさん)

  3. 吸引後Sp02 が低下した、ということから呼吸だけでなく血圧や心拍などの循環動態も変化していると考えられます。まずは用手で強制換気が必要と考えます。同時にバイタルチェックや人工呼吸器の回路チェックを行う、主治医への連絡も必要と考え、ナースコール等で他のスタッフに伝えます。 (メリーさんの執事)

  4. 用手にかえてみて改善がみられた場合、人工呼吸器自体に問題があることを発見できる。とりあえず一人で考えるよりも、他のスタッフもいたほうが、より問題の早期発見につながる。命がかかっているので、とにかく一人で悩まず人を呼ぶ。(Yママさん)

「再度、吸引を行う」を選んだ人のコメント

  1. 痰が詰まっている可能性がある。(あむさん)

  2. というか、吸引しながら人を呼んで他の対応をします。原因が特定できない以上、できる対応を取るしかないので。(未設定さん)

「そのままベッドサイドで様子を見る」を選んだ人のコメント

  1. 吸引中、換気ができなかった可能性あり。開放式の吸引をしたとしたら、レスピ着脱でPEEPが消失したため肺胞が膨らむのに時間を要するかもしれない。吸引に伴う急激なドレナージで肺胞虚脱を起こしたのかもしれない。(ごんたの母さん)

  2. 吸引直後だった場合は、SpO2値が低下する場合がある。直ぐには上昇しない患者さんもいるので、少し様子を見る。(プーさん)

  3. しばらく様子を見て、さらに顔色がわるくなったりSpO2が低下したり、肺音の異常があればもう一度吸引をし、改善がなかったら人を呼びます。吸引して改善がなかった場合、自分の吸引の手技を確認し、手順を確認し間違いがなかったかも必要であると思います。(しょうたさん)

  4. 吸引直後は一時的にSpO2が下がることはよくあるので、慌てずにその場で上がりをみるのもよいと思いました。(maeさん)

  5. 以前もあったとのコトであれば、ベッドサイドで様子見ながら、何かの異常がないかを見るのが1番だと思いました。(みゃぶうさん)

  6. 吸入時酸素濃度が不明ですが、吸引時一時的に下降するのなら、ベッドサイドで回復を確認します。(眠り姫さん)

「その他」を選んだ人のコメント

  1. 本人へ呼吸苦の確認後、速やかにO2開始の指示をもらう。(えりりんさん)

  2. 以前にもあったのであれば、その時の対処方法や、SpO2上昇にどれくらい時間がかかったのかも考慮する。呼吸音聞いて エア入りに問題なければ、FiO2増量してSpO2上昇してきたら、Dr報告します。(ひろさん)

  3. はっきりと覚えていないのですが、吸引前には まず100%酸素を送る装置があったので、それを使用してから吸引を施行していました。SpO2が90%切る程度なら 再度その100%酸素を追加で送っていたような気がします。それでもダメな場合は アラームが鳴るので次に回路点検を行います。それでもわからなければ人を呼びます。(ピアさん)

これまで見てきた事例のつづきと、みなさんのアセスメントに対する山内先生の解説を紹介します。


事例 つづき
すぐに用手換気を行いました。用手換気を行うとSpO2は94〜95%まで回復しましたが、人工呼吸器を装着すると90%にまで下がってしまいます。
そこで先輩看護師にコールして、一緒に見てもらいました。先輩がスクイージングを行い、しばらく用手換気を行うとSpO2が回復し人工呼吸器に装着してもSpO2は下がりませんでした。
先輩は吸引しても引ききれなかった痰が残っていると判断したようです。「痰が少し詰まっていたんだね」と言っていました。


山内先生の解説

数値だけではなく、患者さんの様子も観察する

今回の事例でポイントとなるのが、SpO2ですね。

まずは、SpO2の値について考えてみましょう。普段は90台後半で吸引後は88〜89%とのこと。

この数値であれば、それほど慌てなくてもよいでしょう。これが、例えばSpO2がエラーになってしまうとか、ものすごく数字が下がって60%とか70%とかになってしまったのであれば、吸引をきっかけに何かを詰まらせてしまったのではないかと考えられます。

そのときは、患者さんの顔色などを見て苦しそうにしていたりしたら、用手換気を行いましょう。自分の手でやれば、器械でやるよりも確実に患者さんに空気を送っていることがわかります。

それでも上がらなければ、やはりどこかが詰まっているかもしれないので、吸引をしてみてもよいでしょう。

何%から何%になったかが重要

事例を見てみると、用手換気を行えば94〜95%に回復しますが、人工呼吸器を装着すると90%に下がってしまうとのこと。

90と95というのはSpO2の値でいうとそれほど違いはありません。正常範囲の真ん中だった患者さんが下限になったというのは、それほど気にしなくて大丈夫といえるでしょう。

例えば、普段のSpO2がギリギリ90%の人が吸引後に85%になったというように、正常範囲の下限だった患者さんが明らかに異常範囲に入った場合。

これは慌てなければいけません。同じ5%の変化でもいくつに変化したか、というのが大切です。

今回の事例であれば、SpO2が上がるように改善を心掛けるか、アセスメントして様子を見るというのがよいでしょう。

状態を伝えるときは客観的なデータも加えるとよい

最後に。
今回は事例のつづきで数値を出すことによって、よりアセスメントがしやすくなりましたよね。

ただ「SpO2が下がっている」というのと「SpO2が90台後半から90%に下がっている」というのでは、緊急度の捉え方や判断の仕方が違ってきます。

医師やほかの看護師に患者さんの状態を伝えるときも、このように数値を出すなど、情報を付け加えるとよいですね。

情報の伝達は、受けた人に大事なことが伝わるかどうか、そのためにはどう言えばよいのかを考えて行うことが大切です。

次回の事例
意識状態の悪い患者さんの麻痺の有無と程度はどうアセスメントする?
[Yさんから提供された事例]

SCUに入院中の患者さん。意識レベルはJCS I-3、GCS E4V1M1でした。時折、指先をかすかに動かしたり、不随意運動かもしれませんがぴくっと一瞬動かすくらいで、それ以外は普段は動かすことがありませんでしたし、力も入っていませんでした。この患者さんの麻痺の有無と程度のアセスメントに困りました。

→あなたならどうアセスメントする?

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