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【連載】急変の判断と対応

意識レベルの評価法、JCSとGCSの特徴とは?

  • 公開日: 2014/12/20

2019年2月13日改訂

意識障害と意識レベルを評価するJCS(ジャパン・コーマ・スケール)とGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)について解説していきます。
厚生労働省が2004年に発表した「救急搬送における重症度・緊急度判断基準制作委員会報告書」では、意識障害の緊急度・重症度の判断の第1段階として生理学的評価を挙げています。呼吸や脈拍などさまざまな判断基準がある中で、意識レベルはJCS100以上であるかどうかが重症と判断する基準となっています。


▼バイタルサインについて、まとめて読むならコチラ
バイタルサインとは|目的と測定の仕方、基準値について
【関連記事】
* 【マンガでわかる!】JCSの具体的な付け方
* マンガでわかる! 意識レベルのアセスメント


意識障害とは?

 意識とは、「外界からの刺激を受け入れ、自己を外界に表出することのできる機能」を意味します。自分と外界の正確な認識(認知)ができ、それを表出するための機能が保たれ(応答/反応)、覚醒状態(覚醒)にあることが、意識清明な状態となります。意識障害は、これらの機能が低下した状態であり、「覚醒」「認知」「反応」の面から捉えていく必要があります。

 「認知」は大脳皮質が担い、「覚醒」は脳幹の上行性網様体賦活系(ARAS)が担います。意識レベルの低下(覚醒しない)は脳幹の障害、または、広範囲の大脳皮質の障害を表し、急変の前ぶれとなります。

意識障害の原因疾患

 意識障害の原因疾患はさまざまありますが、大きく2つに分けられます。

頭蓋内圧疾患
頭蓋内の病変により、脳幹部から大脳皮質に至る重要な部分が機械的破綻を受けている状態
脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍、中枢神経系感染症、痙攣発作など

頭蓋外疾患
頭蓋外の疾患により、脳の代謝過程が阻害されている状態
ショック、低酸素血症、代謝異常、中毒、高体温/低体温、ヒステリーなど

JCSやGCSによる意識障害の評価

 患者さんの意識レベルが低下しているかもと感じたときは、初めにその程度を判定する必要があります。意識障害の評価方法はたくさんありますが、代表的なものにジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)(表1)、グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale:GCS)(表2)があります。

 これらは経時的変化の確認や、スタッフ間での共通理解に役立つものですが、この値だけでは十分に伝わらないこともあります。例えば、GCSは患者さんのベストな反応を記録するため、運動応答(M)で左右差がある場合、それは見過ごされてしまいます。スケールを用いた値だけでなく、文章として併記することが大切になります。

ジャパン・コーマ・スケール(JCS)の特徴

 短時間で簡便に意識レベルの評価を行うことができ、間脳・中脳・延髄への侵襲の目安として判定しやすいため、緊急時に用いられます。

表1 ジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)

I.覚醒している(1桁の点数で表現)
0 意識清明
I-1 見当識は保たれているが意識清明ではない(1)
I-2 見当識障害がある(2)
I-3 自分の名前・生年月日が言えない(3)
II.刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁の点数で表現)
II-1 普通の呼びかけで開眼する(10)
II-2 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する(20)
II-3 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けるとかろうじて開眼する(30)
III.刺激しても覚醒しない(3桁の点数で表現)
III-1 痛みに対して払いのけるなどの動作をする(100)
III-2 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする(200)
III-3 痛み刺激に対して全く反応しない(300)

R(不穏)・I(糞便失禁)・A(自発性喪失)がある場合、JCS III-2-Iなどと表す。

より詳しく知りたい方は【マンガでわかる!】JCSの具体的な付け方をチェック!

グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の特徴

 世界的に通用する意識レベル評価法になります。「開眼・最良言語反応・最良運動反応」の3側面の総和で評価するため、やや複雑になり、そのうち1項目でも判定が困難な場合は意味をなさないという問題があります。

表2 グラスゴー・コーマ・スケール(Glassgow Coma Scale:GCS)

開眼機能(Eye opening)「E」
4点 自発的に、または普通の呼びかけで開眼
3点 強く呼びかけると開眼
2点 痛み刺激で開眼
1点 痛み刺激でも開眼しない
最良言語反応(Best Verbal response)「V」
5点 見当識が保たれている
4点 会話は成立するが見当識が混乱
3点 発語はみられるが会話は成立しない
2点 意味のない発生
1点 発語みられず

*挿管などで発声ができない場合は「T」と表記。扱いは1点と同等である。

最良運動反応(Best Motor response)「M」
6点 命令に従って四肢を動かす
5点 痛み刺激に対して手で払いのける
4点 指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める
3点 痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢)
2点 痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)
1点 運動見られず

「マンガでわかる! 意識レベルのアセスメント」も合わせて読もう

意識障害への対応

 意識レベルが低下している患者さんを発見したら、原因検索から開始するのではなく、まずはバイタルサインの安定化を最優先にします。その後に、中枢神経障害の鑑別になります。意識レベルの確認後に、ABC(A:Airway 気道、B:Breathing 呼吸、C:Circulation 循環)をチェックしていきましょう。

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