意識障害に伴う5つの危険な症状(除皮質硬直、除脳硬直など)
- 公開日: 2015/2/5
意識障害に伴う症状のうち、特に危険な症状5つについて解説します。
【関連記事】
● マンガでわかる! 意識レベルのアセスメント
● ショックの5Pとは?ショックの起きる原因と対処方法
1 呼吸パターンの変化
呼吸中枢は、橋と延髄にあるため、呼吸パターンの変化は、脳幹の障害を意味します。
チェーンストークス呼吸は両側大脳半球と間脳の障害で、この呼吸は、障害が脳幹へ移行する前ぶれサインとして重要になります。
2 クッシング現象
頭蓋内圧が上昇すると、脳灌流圧が低下します。
そのため、脳灌流圧を維持するために全身血圧が上昇し、収縮期は約180mmHg以上、拡張期は約60mmHg以下となり、脈圧が上昇します。
逆に脈拍は、60回/分以下に減少し、拍動は強くなります。
これらは急激な頭蓋内圧亢進症状として重要なバイタル変化になります。
3 異常姿勢
姿勢の保持や平衡機能維持のために、筋緊張の調整を司るところが、脳幹網様体の外側にある下行性網様体賦活系です。
脳幹が障害されると、下行網様体賦活系が遮断され異常な筋緊張が生じます。
異常姿勢は、脳幹の障害の程度を表すサインになります。
図 除皮質硬直(じょひしつこうちょく)
図 除脳硬直(じょのうこうちょく)
続いて「瞳孔不同」と「眼球の位置」について解説します。
4 瞳孔不同
眼球の動きや瞳孔の縮瞳を司るのは動眼神経です。
動眼神経は中脳にあり、散瞳は脳幹障害のサインです。
散瞳側の頭蓋内に病変があり、瞳孔不同が生じ、対光反射も減弱してきたら、テント切痕ヘルニアの進行を意味し、大変危険な状態です。
図 瞳孔不同
5 眼球の位置
頭蓋内の障害部位により眼球の位置が変化するため、頭蓋内に何らかの障害が発生したことのサインになります。
(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)
【関連記事】
● 意識レベル低下時の対応の流れ
● 急変に結びつく危険な徴候とは?
● 急変を見抜くには「ホメオスタシス」を理解する!
この記事を読んでいる人におすすめ
意識レベルの評価法、JCSとGCSの特徴とは?
2019年2月13日改訂 意識障害と意識レベルを評価するJCS(ジャパン・コーマ・スケール)とGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)について解説していきます。 厚生労働省が2004年に発表した「救急搬送における重症度・緊急度判断基準制作委員会報告書」では、意識障害の緊
意識レベル低下時の対応の流れ
意識レベル低下時の対応の流れついて解説します。 ▼バイタルサインについて、まとめて読むならコチラ バイタルサインとは|目的と測定の仕方、基準値について 意識レベルが低下している患者さんを発見したら、原因検索から開始するのではなく、まずはバイ
意識レベルとアイウエオチップス
意識レベルとアイウエオチップス 次年度改定される看護基礎教育カリキュラムのひとつに、フィジカルアセスメントがあります。 もう一度基礎から勉強!・・・というのも手ではありますが、培った臨床知に少しのエッセンスをプラスすることで、日々のフィジカルアセスメントが変わるはずで
窒息への急変対応 6ステップ|腹部突き上げ法(ハイムリック法)、背部叩打法、乳児の窒息解除
急変に遭遇! そんなときに慌てず焦らず処置を行うには、急変対応を繰り返しおさらいしておくことが必要です。 今回は、「窒息」という緊急度の高い事態への対応を解説します。 【関連記事】 ● 急変に結びつく危険な徴候とは?● 急変時に行う「迅速評価→1次評価(AB
気道確保|エアウェイの挿入手順と頭部後屈顎先挙上法
気道確保とは? 大気の通り道である気道(airway)の物理的な閉塞を解除する、もしくは予防する処置です。窒息を防ぎ、呼吸管理を行うために実施されます。 気道閉塞の原因はさまざまですが、よくみられるのは意識障害による舌根沈下です。 気道閉塞は生