意識障害に伴う5つの危険な症状(除皮質硬直、除脳硬直など)
- 公開日: 2015/2/5
- 更新日: 2021/1/6
意識障害に伴う症状のうち、特に危険な症状5つについて解説します。
1 呼吸パターンの変化
呼吸中枢は、橋と延髄にあるため、呼吸パターンの変化は、脳幹の障害を意味します。
チェーンストークス呼吸は両側大脳半球と間脳の障害で、この呼吸は、障害が脳幹へ移行する前ぶれサインとして重要になります。
2 クッシング現象
頭蓋内圧が上昇すると、脳灌流圧が低下します。
そのため、脳灌流圧を維持するために全身血圧が上昇し、収縮期は約180mmHg以上、拡張期は約60mmHg以下となり、脈圧が上昇します。
逆に脈拍は、60回/分以下に減少し、拍動は強くなります。
これらは急激な頭蓋内圧亢進症状として重要なバイタル変化になります。
3 異常姿勢
姿勢の保持や平衡機能維持のために、筋緊張の調整を司るところが、脳幹網様体の外側にある下行性網様体賦活系です。
脳幹が障害されると、下行網様体賦活系が遮断され異常な筋緊張が生じます。
異常姿勢は、脳幹の障害の程度を表すサインになります。
除皮質硬直(じょひしつこうちょく)
除脳硬直(じょのうこうちょく)
続いて「瞳孔不同」と「眼球の位置」について解説します。
4 瞳孔不同
眼球の動きや瞳孔の縮瞳を司るのは動眼神経です。
動眼神経は中脳にあり、散瞳は脳幹障害のサインです。
散瞳側の頭蓋内に病変があり、瞳孔不同が生じ、対光反射も減弱してきたら、テント切痕ヘルニアの進行を意味し、大変危険な状態です。
瞳孔不同
5 眼球の位置
頭蓋内の障害部位により眼球の位置が変化するため、頭蓋内に何らかの障害が発生したことのサインになります。
(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)
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