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【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

在宅における栄養補助食品の活用

  • 公開日: 2017/10/31

高齢者の栄養

一般に高齢になると、食事の量が少なくなり、あっさりしたものを好むようになるため、食事に偏りが生じやすくなります。平成28年の国民健康・栄養調査によると、「65 歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI≦20 kg/m2)の割合は 17.9%であり、性・年齢階級別にみると、男女とも 85 歳以上で低栄養の割合が高い、という結果が得られています。現在、高齢期の疾病予防・介護予防等の推進が国を挙げて行われており、その一つとして高齢者の栄養状態の改善が重要視されています。

訪問看護と栄養

弊社が訪問の中で大切にしていることは、「その人らしく在宅生活を続けることができる」ことです。弊社のご活用者様(ご利用者様を弊社ではご活用者様をお呼びしています)も当然ご高齢の方が多いのですが、共通して課題となるのが、栄養です。病院では栄養士による計算された食事を提供されますが、在宅ではそうはいきません。高齢者は既往歴として多くの疾患を持っており、それに応じて食事制限も多々あります。そのため、医療者から制限食のある宅配弁当や制限食の食事内容を提案されます。
しかしながら、訪問をしていると、最初は宅配弁当や制限食を取り入れていますが、すぐに元の食事スタイルに戻っていたり、「口に合わない」という理由で食事量自体が減っていることも多いです。そのため、ご活用者様の病状、食事制限の有無、嚥下機能、生活スタイル、嗜好、経済状況に合わせ、方法の一つとして栄養補助食品を提案することがあります。

栄養状態のアセスメント

 在宅で栄養評価する際には、採血結果もそうですが、簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment) MNA®を用いてスクリーニングを行い、低栄養や低栄養リスクの状態に該当した場合、主治医やかかりつけの病院の栄養士と連携を取り必要な介入を検討します。最近では対象は限られますが、医師の指示の下で訪問栄養指導を介護保険・医療保険を使って利用することができます。

在宅における栄養補助食品の位置づけ

本来栄養補助食品は、栄養を「補助」する役割の基で勧められるものですが、前述の通り、いくら理想的な提案を行ってもそれを毎日実行できなければ意味はありません。
現実として、どんな食事内容の提案をしても受け入れられなかった方が、「好きな時間、タイミングにこのゼリーを一個だけ食べてください」と提案すると受け入れられる場合も多くあります。中には、栄養補助食品だけを飲まれて生活されている方もいらっしゃいます(当然栄養面のアプローチは続けていますが)。このように、在宅における栄養補助食品は、在宅生活の栄養を支える非常に重要な位置づけにあると感じています。

栄養補助食品について

 栄養補助食品は、「医薬品」と「食品」とに分けられます。医薬品は医師の処方によって保険適応となります。一方、食品は全額自己負担になりますが、処方は不要で、ドラックストアや通販で購入が可能で、種類や形態も豊富にあるため、嚥下機能や嗜好に合わせた提案が可能です。

補助食品の導入に関する注意点

 補助食品の導入には日ごろの食事内容や摂取状況の把握と共に、食事制限の有無の確認は重要で、主治医の許可を得ることが大切です。繰り返しますが、補助食品は「補助」の役割であり、食事量、内容の改善が前提です。そのため、嚥下評価や食事量低下(栄養状態低下)の原因検索が重要です。例えば、肉や魚の摂取量が減少している理由として、義歯が合っていない等、実は口腔内に問題があることもあり、口腔内の状態チェックを行い、必要なら歯科受診(訪問歯科の導入)の打診を行うこともあります。

目的は必要な食品を継続して摂取してもらうこと

 栄養改善を図るためには、継続した摂取が必要です。ですから食品摂取を習慣化できることが必要です。それにはご本人、ご家族はもちろんのこと、ケアマネジャーやヘルパーなど、ご活用様を日ごろ支えているケアスタッフ全員が必要性を理解し、訪問ごとに促してもらうといった連携が重要になってきます。

 さまざまな企業が目的や嗜好に合わせたものを提案しています。在宅で働く看護師は、日ごろから、新商品のチェックや試供品提供の相談、パンフレットの準備等、常に最新情報の把握に努めることが必要です。


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