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【連載】睡眠時無呼吸症候群の病態とケア

1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の病態について知ろう!

  • 公開日: 2018/1/16

この連載では、睡眠時無呼吸症候群の病態や診断・治療、ケアについて事例に沿って解説していきます。第1回では、病態について解説していきます。


【事例】

会社員のAさん(45歳)は残業後自家用車で帰宅の途中、信号待ちをしている車に追突事故を起こしました。追突する直前の記憶がなかったことに自分でショックを受け、妻の勧めもあってS病院の内科を受診しました。簡易検査ではRDI(呼吸障害指数)が23回/時で、中等症(表1)の無呼吸症を認めたため、再検査を勧められました。
Aさんは身長が170㎝でBMIは28。結婚13年目で子供が2人います。ここ3年で体重が5㎏増え、会社の健康診断では血糖値や血圧の異常を指摘されていますが忙しくて受診はしていません。妻は介護施設で勤務する事務職員で、妻のほうが早起きのためAさんのいびきを嫌がって数年前から寝室は別(Aさんはリビングのソファーベッドで就寝)となっています。

簡易検査:鼻と口元の気流、胸郭の運動、SpO2と心拍数の3項目を測定できる検査機器を患者さんに貸し出し、自宅で就寝時に装着して測定する検査です。

精密検査(PSG):体位、眼球運動、腹部の運動、四肢の運動、睡眠深度を測定する検査で、医療機関での一泊入院検査が一般的です。

重症度はAHI(無呼吸低呼吸指数)で分類されます。

表1
軽症 5~15回/時
中等症 15~30回/時
重症 30回/時以上

*検査と診断については、詳しくは3回目で解説します。

中枢性睡眠時無呼吸症(CSAS)の原因と病態

呼吸中枢の働きが弱まり起こる

 中枢性無呼吸とは中枢神経から「息を吸いなさい」という指令が出なくなって呼吸が止まってしまう状態です。
心拍が右心房にある洞房結節から出る「電気刺激」でコントロールされているように、睡眠中の呼吸は脳の下部にある延髄の呼吸中枢から出る「吸気指令」によって調整されています。呼吸中枢は身体の組織が活動して産生した二酸化炭素の量と、肺から呼気に排泄される二酸化炭素の量を監視していて、二酸化炭素が多くなりすぎないように呼吸回数を調節しています。この呼吸中枢の働きが睡眠中に弱まってしまうのが中枢性睡眠時無呼吸です。

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