2.睡眠時無呼吸症候群の合併症(睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなるか)について知ろう
- 公開日: 2018/2/24
今回は、睡眠時無呼吸症候群の合併症について解説します。事例のように精密検査に消極的な患者さんにどのようにアプローチをするとよいのか、睡眠時無呼吸症候群を放置するとどのような状態になるのかについて紹介していきます。
【事例】
45歳のAさんは簡易検査でAHI(無呼吸低呼吸指数)23回/時の中等症の睡眠時無呼吸症と診断され精密検査を勧められています。先日起こした追突事故のため不安はあるものの、仕事が忙しいことを理由に入院してこれ以上検査を受けることには消極的です。
一方、一緒に検査結果を聞きに来ていた妻は夫の自宅での様子を説明します。「結婚したころはそうでもなかったんですが、2、3年前に営業に転勤してから体重が増えて、いびきがすごいんです。とても同じ部屋では眠れなくて。朝も起きるのがすごくつらいみたいだし、休みの日は昼まで起きてこないんですよ。それに無呼吸のせいで血圧も高くなるってテレビで見たんですけど、会社の検診で高血圧だって言われたのに、医者に行くほどじゃないって言い張っていて……」
担当医は資料を見せながら説明を始めます。
呼吸停止が体に与える影響
深く眠ると呼吸が止まる。それによって何が起こるのでしょうか。目が覚めている状態で息を止めたと想像してみてください。酸素飽和度がほんの少し下がったくらいでも相当息苦しさを感じます。だから、ふつうはすぐに深呼吸をして酸素分圧を回復させるんです。
ご自分で試してみますか?
(Aさんにパルスオキシメーターを装着してもらうとSpO2=97%でした。息止めをして2%下がるのを待ちますが、50秒ほどで我慢できなくなり1%下がっただけでギブアップしました)
意識があれば、とてもそんなに長い間息を止めていられないのはおわかりになりましたね。睡眠中であれば、覚醒時ほど息苦しさに敏感ではありませんが、呼吸停止が長引けば眠っていても苦しさを感じて何とか息を吸おうとする行動が起こります。「溺れる夢を見て目が覚める」「息ができなくて苦しくて目が覚めた」などの自覚症状を伴う人もいます。完全に目が覚めてしまう場合もありますが、多くの場合、深い眠りから引き戻されて覚醒寸前の浅い眠りになるようです。