第1回 がん治療によって起こる皮膚障害とは【PR】
- 公開日: 2020/2/25
がん患者さんが、がんの治療を行うと皮膚障害を発症するリスクが高まります。このような状況では、皮膚障害の早期発見・早期対応のためには患者さんのセルフケアの実施が欠かせません。
治療によってどのような時期にどのような皮膚障害が発症する可能性があるのかを患者さんに知ってもらうことが必要ですし、患者さんにセルフケアを行ってもらうための適切な支援・指導を行わなければなりません。
この連載では、がん治療に伴う皮膚障害に対する基礎知識やケアの仕方を解説します。
第1回は、がん治療で起こる皮膚障害にはどんなものがあるのか、看護師はどのような役割を果たせばよいのかを解説します。
がん治療で起こる皮膚障害の予防法
現在、がん治療には、外科的療法と抗がん薬による治療と放射線療法、そしてそれぞれを組み合わせて使う方法が行われています。治療を行うことによってさまざまな合併症、副反応が起こります。放射線療法と抗がん薬による治療では、表にみられるような皮膚障害が生じます。
表 がん治療で起こるおもな皮膚障害
治療 | 起こる可能性のある皮膚障害 |
---|---|
放射線療法 | 放射線皮膚炎、粘膜炎 |
細胞障害性抗がん薬 | 紅斑、発疹、皮膚乾燥、皮膚掻痒、色素沈着、爪甲剥離、粘膜炎など |
分子標的薬 | EGFR阻害薬:ざ瘡様皮疹、爪囲炎 マルチキナーゼ阻害薬:手足症候群 |
免疫チェックポイント阻害薬 | 皮膚搔痒、播種状紅斑丘疹型、扁平苔癬、尋常性乾癬、天疱瘡 |
放射線皮膚炎は8~9割の患者さんに起こるため、保湿と保清による予防が重要で、治療開始の時点から、衣類や紫外線などの外的な刺激を防ぎます。
殺細胞性の抗がん薬では、色素沈着には紫外線制御と保湿を行います。脱毛に関しては、あまりこすらず洗うようにしますが、予防はなかなか難しく、患者さんの心のケア、サポートが必要だと感じています。皮膚搔痒には保湿が一番重要で、起こりやすい薬剤では、あらかじめ保湿剤を処方しています。
分子標的薬では、ざ瘡様皮疹には保湿と保清、適宜症状に合った塗り薬を使います。爪囲炎では予防と症状を悪化させないためのケアが大切です。清潔を保ち、刺激を防ぐための手袋を活用します。テーピングの予防法も、患者説明会のような形であらかじめ説明するとよいでしょう。手足症候群は長時間の歩行や、重いものを持つことへの制限がありますが、予防により症状が軽くなりますから、患者さんのストレスにならない範囲で刺激を避けるようにします。
免疫チェックポイント阻害薬では、皮膚障害が初めから出る患者さんも、半年後から出る患者さんもいますし、本当に何が出現するかわからないので、保湿剤は初めから塗るようにし、「症状が出たら早めに教えてください」とお話ししています。
皮膚障害のケアと看護師の役割
皮膚障害の起こる時期や部位がわかっている薬剤が多いですから、看護師さんもこの薬剤ではこの部分を注意しないといけないなと、使っている薬剤を見て看る部位を考慮する必要があると思います。
爪囲炎は爪甲乖離が進んでからではなく、爪の下が赤紫になった早期からの治療が大切です。抗がん薬の粘膜炎は2週間目をピークに治まっていきますが、患者さんに粘膜炎が起こりやすい薬剤であることをお話しし、初めの段階から刺激物や固いものを食べないよう準備しておくとよいでしょう。う歯についても、治療前に「むし歯はありませんか」と尋ねておきます。
皮膚の洗浄には、低刺激かつしっかり洗えるよう石けんをガーゼのハンカチで泡立てるのが一番よいのですが、泡を立てるのが大変だという患者さんには、泡のタイプで出てくるボディソープでも構わないと思っています。身体を洗うタオルなどを浴槽に置きっぱなしの患者さんもいると思うのですが、緑膿菌が繁殖して緑膿菌性の毛嚢炎が出現します。
医師からは一般的な話しかできませんので、細かいケアに対しては看護師さんからいろいろ話をすくい出してもらうことが重要になってきます。「どんなもので身体を洗っていますか」とか、どういうことを日常生活でしているか、仕事や趣味のこと、皮膚障害に関しても、テーピングが難しい患者さんや協力者の有無を含めて、今後の日常生活をフォローできる体制づくりに役立つ情報を聞き出してくれると、とても参考になります。看護師さんには患者さんも話しやすいですし、絵や日記帳などを活用して患者さんとやりとりしてくれるので、患者さんがなかなか伝えきれないことを「こういう点がありました」と報告してもらえるととても助かります。
第2回は「放射線治療によって起こる皮膚障害のケア」について解説します。
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医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。