Rubenstein分類
- 公開日: 2020/3/30
1.このスケールは何を判断するもの?
洞不全症候群を分類するためのスケールです。対象となるのは、洞不全症候群の患者さんです。循環器内科に入院していることが多いのですが、どの患者さんにも出現する可能性があるため全科で使用する可能性があると言えます。
洞機能不全症候群は洞結節の自動能低下、洞結節ないし洞結節周辺部における伝導障害などによって生じる異常調律により、めまい、立ちくらみ、動悸、易疲労感、失神、心不全などの症状を伴う症候群です。
原因疾患として虚血性心疾患、心筋症、心筋心膜炎などがありますが、大部分は原因不明の特発性です。
Rubenstein 分類
治療は無症状であれば経過観察となりますが、症状を有する場合には治療の対象となります。薬物療法としてはアトロピンやイソプロテレノールが対症療法として用いられますが、治療の中心はペースメーカ植え込みです。
不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)にある洞不全症候群に対するペースメーカ適応の推奨では、洞房ブロック、洞停止、徐脈頻脈症候群のどれかであるかどうかがかかわってくるため、Rubenstein 分類により、ペースメーカー植え込みの適応か否かの判断につながります。
2.スケールはこう使う!
モニター心電図または12誘導心電図を用いて評価をします。
洞徐脈:RR間隔の延長
洞停止:洞結節からの電気信号が一時的に発生しなくなる(P波もそれに続くQRS波、T波もみられない)
洞房ブロック:RR間隔が元のRR間隔の整数倍に延長
徐脈頻脈症候群:RR間隔が延長した(徐脈)後にRR間隔の短縮(頻脈)が見られる
また、症状の有無の観察も必要となります。
I型:息切れ
II型、III型:めまい、ふらつき、意識消失等
分類により、今後予測される症状や起こる可能性がある病態について判断することが可能となります。特にⅡ・Ⅲ型は治療が必要となることが多いため、結果を直ぐに医師に報告することが必要です。Ⅲ型の場合は、アダムストークス症候群の出現による意識消失の危険性があるため、モニター心電図で管理を行います。
3.看護に活かす!
洞不全症候群と診断された徐脈患者さんの観察に活用します。Rubenstein分類のⅠ〜Ⅲ型のどれに分類されているかによって、前述したようにどのような症状が起こる可能性があるかを予測することができます。めまいやふらつき、意識消失等が予測される場合には、転倒や骨折・頭部外傷等に気をつける必要があります。
診断はされていなくても、急に徐脈になった患者さんの観察にも同様に活かせます。この分類を活用することで、早期に治療が開始することが可能となり、二次的な合併症を予防することが可能となります(例:意識消失に伴う転棟や骨折・頭部外傷等)。