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【連載】消化器科で必要な看護技術を学ぼう!

内視鏡検査の看護|上部内視鏡と下部内視鏡の実施前・実施中・実施後の注意点

  • 公開日: 2021/1/25

今回は代表的な内視鏡検査について解説します。



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内視鏡の介助

1)対象疾患

 内視鏡検査とは:先端に小型カメラ 又はレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察し、時には治療を行います。


表1 内視鏡の種類と概要
内視鏡の種類と概要


2)検査の実施前

(1)必要なアセスメント

・疾患及び症状、既往歴、内服薬の確認
抗凝固薬、抗血小板薬⇒出血リスクにつながるため内服しているか確認が必要です。
血糖降下薬⇒検査当日は禁食となるため中止とします。


・最終飲水及び食事摂取時間の確認


・心理面の観察
不安の表出はないか等、特に初回検査時は不安が増強するため、検査回数を確認します。また不安が強い場合には検査中に鎮静薬を使用することを検討します。


・バイタルサイン


・前処置の確認
特に下部内視鏡では、排便の状況について観察します。


・検査の同意書の確認


(2)患者さんへの説明内容(注意点等)

【上部・下部内視鏡共通】

・検査に必要な前処置の方法や、内服薬・飲食について説明を行う


・検査着に更衣することを伝える


・検査開始前には、義歯等の装着物を外すことを説明する


・経口で行う場合、検査中は会話をすることが難しいため、つらいときは手を挙げてもらうなど、予めサインを決めておく


【下部内視鏡】

①食事:前日は低残渣食とし、当日は禁食とする(内服薬は事前に医師へ確認する)


②下剤:検査当日からマグコロールP®やムーベン®などの経口腸管洗浄剤の内服を行う
<経口腸管洗浄剤の飲み方の説明>
・内服することによって、一時的に排便が頻回になることをあらかじめ伝え、失禁の心配がある患者さんには一時的にパットやおむつの使用を提案する
・容器の中に半分程度の水と散剤を加えて溶解した後、水を約2Lの線まで入れて振り混ぜ、溶解液を作成する
・溶解液はコップ2~3杯(1杯=約180mL)までは1杯あたり15分以上かけて内服し、その後は 1杯を10~15分程度、全量を2時間以上かけてゆっくり内服するよう指導する
 ⇒短時間で内服すると腸管穿孔を起こすことがあるため、下剤(経口腸管洗浄剤)の内服状況の確認と便の色・性状の観察を定期的に行う
・内服をしはじめて1時間経っても排便が認められない場合は、一度内服を中止し、報告するように説明する
・腹部状態や消化器症状の観察を行い、追加の下剤が必要になる場合もあるため、医師へ報告する
・腹痛、嘔気、息苦しさなどが見られたときはすぐに報告するように説明する。
 ⇒速やかに内服を中止し、医師へ報告する


③点滴:下剤内服・禁食に伴い、医師の指示によって行われる


④服装:肛門からの検査であり、寝衣や下着の汚染が予想されるため、事前に検査着に更衣してもらう(場合によっては簡易おむつの着用を行うこともある)


⑤出棟:基本的には車椅子で検査室に移動することが望ましい


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