KDIGO基準、新生児修正 KDIGO 診断基準
- 公開日: 2021/8/15
KDIGO基準、新生児修正 KDIGO 診断基準は何を判断するもの?
KDIGO基準(表1)と新生児修正 KDIGO 診断基準(表2)は、急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の診断や重症度判定を行うためのスケールです。
表1 KDIGO基準
The Kidney Disease:Improving Global Outcomes (KDIGO) 2012 Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury. Kidney Int Suppl 2012;2(1):1-138.をもとに作成
表2 新生児修正 KDIGO 診断基準
Jetton JG,et al:Acute kidney injury in the neonate. Clin Perinatol 2014;41(3):487-502. /Selewski DT, et al:Neonatal Acute Kidney Injury. Pediatrics 2015;136(2):463-473.をもとに作成
これまで、AKIに関連したスケールとしてRIFLE基準やAKIN基準が提案されてきましたが、このRIFLE基準とAKIN基準を統合して誕生した基準がKDIGO分類です。
2012年にKidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)が提唱したもの1)で、多くのAKIをスクリーニングすることを目的としています。
2015年には、新生児や3カ月未満の乳児のAKIを評価するための「新生児修正 KDIGO 診断基準」も提唱され2)、3)、幅広い年代の患者さんに用いられています。
KDIGO基準、新生児修正 KDIGO 診断基準はこう使う!
KDIGO基準は、早期にAKIを把握するとともに、その重症化を検知し、適切な医療的介入によって生命予後を向上させるために用いられています。
このスケールでは、3つの定義のうち、いずれか1つに該当した場合はAKIと診断し、血清クレアチニン(Cr)値と尿量の2つの指標で重症度を評価します。血清Cr値基準と尿量基準で重症度が異なる場合は、重症度の高いほうを採用します。
小児でも成人とほぼ同様の方法で診断をおこないますが、新生児期を含む3カ月未満の小児においては、血清Cr値の基準値が確立されていない点を理解しておく必要があります。
血清Crの基準値について、新生児修正 KDIGO 診断基準では、「診断以前の血清Crの最低値」と定義されており2)、3)、これをもとに診断することは可能ですが、『AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016』では、複数回の測定を考慮した運用が望ましいとしています4)。
KDIGO基準、新生児修正 KDIGO 診断基準の結果を看護にこう活かす!
AKIは、医療的介入が早期であるほど予後の改善が期待できるため、日常の看護の場では尿量の変化をしっかり把握し、異常を検知した場合はスケールを用いて患者さんの状態を確認することが大切です。
また、AKIは腎機能の急激な悪化を引き起こすことがあります。AKIと診断された患者さんに対しては尿量だけでなく、バイタルサインや浮腫などの全身症状を適切に評価し、些細な変化も見逃さないよう注意します。
万が一、重症度が高いと判断できる場合は、速やかに医師に報告しましょう。
引用・参考文献
1)The Kidney Disease:Improving Global Outcomes (KDIGO) 2012 Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury. Kidney Int Suppl 2012;2(1):1-138.
2)Jetton JG,et al:Acute kidney injury in the neonate. Clin Perinatol 2014;41(3):487-502.
3)Selewski DT, et al:Neonatal Acute Kidney Injury. Pediatrics 2015;136(2):463-473.
4)AKI(急性腎障害)ガイドライン作成委員会 編:AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016,p.73-4.(2021年7月16日閲覧)https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/419-533.pdf