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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

改訂Raiの病期分類

  • 公開日: 2024/3/3

改訂Raiの病期分類は何を判断するもの?

 改訂Raiの病期分類とは、慢性リンパ性白血病の病期を分類するためのスケールです。慢性リンパ性白血病の病期分類は、改訂Raiの病期分類のほかにBinetの病期分類があり、主にアメリカでは改訂Raiの病期分類、ヨーロッパではBinetの病期分類が用いられています。

 慢性リンパ性白血病は血液がんの一種で、がん化したBリンパ球が異常増殖する疾患です。一般に50歳以降の中高年に多いとされますが、日本では稀にしかみられません。緩徐な経過をたどり、発症初期はほとんど症状を認めないことから、健康診断で白血球数が多いことを指摘され、偶然発覚するケースも多くあります。

 慢性リンパ性白血病の治療は化学療法が中心となりますが、進行の程度や症状によっては積極的な治療は行わず、経過観察が選択されます。治療関連の死亡を防ぐためにも、改訂Raiの病期分類で病期の評価を行い、治療開始時期や治療方法を慎重に検討することが求められます。

改訂Raiの病期分類はこう使う!

 改訂Raiの病期分類では、診察所見と血液検査の結果から、慢性リンパ性白血病の病期を低リスク・中リスク・高リスクの3段階に分類します(表)。病期ごとの平均生存期間は、低リスクで10年以上、中リスクで8年以上、高リスクで6.5年とされています1)

 改訂Raiの病期分類において、活動性病変がないと判断される低リスクや中リスクに該当する患者さんについては、治療を行っても全生存期間は延長しないとされているため、積極的な治療は行いません2)

表 改訂Raiの病期分類

改訂Rai分類Rai分類病期分類規準
低リスク0末梢血モノクローナルBリンパ球>5,000/μL+骨髄リンパ球>40%
中リスク病期0+リンパ節腫脹
病期0~Ⅰ+肝腫,脾腫(どちらかまたは両方)
高リスク病期0~Ⅱ+貧血(Hb<11g/dLまたはHt<33%)
病期0~Ⅲ+血小板<10万/μL
National Comprehensive Cancer Network:NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Chronic Lymphocytic Leukemia/Small Lymphocytic Lymphoma. Version 2. 2020.より引用

改訂Raiの病期分類の結果を看護に活かす!

 慢性リンパ性白血病の患者さんの看護に当たるときは、改訂Raiの病期分類による評価を通して、患者さんの状態や予後などを把握できるとよいでしょう。

 低リスクや中リスクに該当する患者さんは、基本的に治療の必要はありませんが、患者さんから気になる訴えがあった場合や状態の変化が認められる場合は、病期が進み、治療を検討しなければならない可能性もあるため、速やかに医師に報告します。高リスクに該当する患者さんには化学療法を中心とした治療が行われますが、毒性が強いケースもあるため状態観察に努めます。

 前述したように、慢性リンパ性白血病の多くは緩徐な経過をたどりますが、一部に進行が速く、予後不良なものもあります。予後不良と診断された患者さんに対しては、精神的なフォローを心がけることも必要です。

引用・参考文献

1)Eichhorst B, et al:Chronic lymphocytic leukaemia:ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis,treatment and follow-up.Ann Oncol 2015 ; 26(5): 78-84.
2)日本血液学会:白血病.造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版.(2024年2月8日閲覧). http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_5.html
●鈴宮淳司:慢性リンパ性白血病の診断と治療.日本内科学会雑誌2013;102(7):1720-7.

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