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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

山田分類

  • 公開日: 2024/2/5

山田分類は何を判断するもの?

 山田分類とは、胃内腔に発生した隆起性病変の形態を分類するために用いられるスケールです。1965年に提唱された歴史があるスケールですが1)、胃内腔の隆起性病変の形態を表す指標として現在でも広く活用されています。

 胃内腔にできる隆起性病変の多くは胃ポリープなどの良性腫瘍ですが、山田分類では腫瘍、非腫瘍、上皮性、非上皮性といった病態や良性・悪性で区別することなく、胃内腔に存在するすべての隆起性病変をスケーリングの対象としているところが特徴といえます。

 また、山田分類によるスケーリングと病変の大きさを組み合わせて評価することで、良性・悪性の鑑別につながるという報告もあり1)、2)、病理検査結果が揃う前段階で診断の予測に役立ちます。

山田分類はこう使う!

 山田分類では、内視鏡検査の所見から、胃内腔の隆起性病変を肉眼的に4つのタイプ分類します(表)。

 病変の確定診断には病理検査が必要ですが、前述したように、山田分類によるスケーリングと病変の大きさによって良性・悪性の予測が立てられるとされており、具体的に、Ⅱ型で5mm以上、Ⅲ型で10mm以上、Ⅳ型で20mm以上になると悪性所見が高率に認められるとされています1)、2)

表 山田分類

分類肉眼的所見
Ⅰ型隆起の起始部が滑らかで、明確な境界線を形成しないもの
Ⅱ型隆起の起始部に明確な境界線を形成しているが、くびれを認めないもの
Ⅲ型隆起の起始部に明らかなくびれを形成しているが、茎の認められないもの
Ⅳ型明らかに茎のあるもの
山田達哉,他:胃隆起性病変.胃と腸 1966;1(2):145-50.より引用

山田分類の結果を看護に活かす!

 胃内腔に隆起性病変があっても治療対象とはならず、経過観察になるケースは多いものの、異常はないか、治療が必要になるのかどうか、患者さんは多くの不安を抱えた状態で検査を受け、結果を待つことになります。そのため、医師からの説明でわからなかったところはないか、検査に対して不安に思っていることはないかを丁寧に聞き取り、安心して検査が受けられるように支援します。

 山田分類による評価や病変の大きさも含めて悪性が疑われる患者さんについては、ショックで混乱する可能性も考えられることから、精神的なケアを行っていくことも求められます。

引用・参考文献

1)山田達哉,他:胃隆起性病変.胃と腸 1966;1(2):145-50.
2)山田達哉,他:日本消化器病学会第53回総会 1)胃隆起性病変について.日本消化器病学会雑誌 1967;64(9):773-5.
●中嶋秀麿,他:胃隆起性病変における山田分類(Yamada’s classification for gastric polypoid lesion).胃と腸 1996;31 (3):332.
●谷内昭,他:消化管ポリープの分類と意義.日本内科学会雑誌 1992;81 (5):603-9.

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