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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

蕁麻疹活動性スコア(Urticaria Activity Score:UAS)

  • 公開日: 2022/10/11

蕁麻疹活動性スコアは何を判断するもの?

 蕁麻疹活動性スコア(Urticaria Activity Score:UAS)とは、1日の膨疹の数と掻痒の程度を点数化し、慢性蕁麻疹の活動性及び重症度を評価するスケールです。直近7日分の点数を合計したものをUAS7といい、国際ガイドラインで使用が推奨されています1)

 慢性蕁麻疹の症状は、夕方から夜間にかけて出現することが多く、医師が診察をする日中の所見では正確な評価ができないケースも少なくありません。そのため、診察時以外の症状も踏まえて評価をする必要があります。

 UASによるスケーリングは患者さん自身で行うこと、また、膨疹の数と掻痒の程度という客観的・主観的な側面から簡易的に評価して点数化することから、正確な評価に導きやすいのが大きな特徴です。

蕁麻疹活動性スコアはこう使う!

 UASでは、膨疹の数と掻痒の程度を0~3点にスケーリングします(表)。

表 UAS

スコア膨疹掻痒
0なしなし
1軽度 (< 20個/24時間)軽度(痒みはあるが、ほとんど気にならない)
2中等度 (20~50個/24時間)中程度(痒みは気になるが、日常生活や睡眠に支障はない)
3重度 (>50個/24 時間、または広範囲で膨疹が融合)重度(日常生活や睡眠に支障が出るほど激しい痒み)
T. Zuberbier,et al:The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy 2018;73(7):1393-414.より引用

 スケーリングは連続7日間行い、その合計点で慢性蕁麻疹の活動性を確認するとともに、重症度を評価します。合計点が0~6点は「コントロール良好」、6~16点は「軽症」、16~28点は「中等症」、28~42点は「重症」と考えます。

 UASは一般的に、患者さん自身がスケーリングを行い、診療時に医師にスコアを提出することで診療時以外の慢性蕁麻疹の活動性が判断され、治療方針が決定されます。一方で、スケーリング管理ができない入院患者さんなどに対しては、看護師が代わりに評価を行うこともあります。その場合は、正しく膨疹の状態を観察し、患者さんの訴えや様子から掻痒の程度を評価するようにしましょう。

蕁麻疹活動性スコアの結果を看護に活かす!

 UASは、慢性蕁麻疹の重症度を評価するのに適したスケールであり、治療方針を決めるうえで重要な指標となります。慢性蕁麻疹の症状は重症度によって異なり、日常生活に大きな支障を来すことも少なくなく、適切な治療を行っていく必要があります。

 薬物療法は、すべての蕁麻疹に対して考慮されるべき治療とされていますが2)、慢性蕁麻疹では服薬を中断すると再発するおそれがあるため、医師の指示どおりに服薬し、自己判断で減量したり、中断したりしないように指導することが重要です。

 また、入浴する際は熱いお湯に入るのは避けて、皮膚に強い刺激を与えないようにする、無意識に掻いてしまうことがあるため、爪は短くしておくようにするなど、日常生活での注意点も伝えられるとよいでしょう。

引用・参考文献

1)T. Zuberbier,et al:The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy 2018;73(7):1393-414.
2)日本皮膚科学会:蕁麻疹診療ガイドライン2018.p.2511(2022年9月10日閲覧) https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
●葉山惟大:慢性特発性蕁麻疹の診断・治療の最新情報.日大医誌 2020;79 (2):93–7.

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