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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Gustilo分類(ガスティロ分類)

  • 公開日: 2022/10/9

Gustilo分類は何を判断するもの?

 Gustilo分類とは、開放骨折の重症度を評価するためのスケールです。

 開放骨折とは、骨折部が体表面の傷と直接つながった状態の骨折のことを指します。神経、血管、筋肉、軟部組織などの損傷を合併することが多く、骨折部が外界と交通しているため、適切な処置をしなければ重度な感染症を引き起こして、四肢の切断を余儀なくされるケースも少なくありません。

 開放骨折による感染症の発生率は、Gustilo分類のグレードの高さと関係しているとの報告もあり1)、スケールを用いて迅速に評価を行い、適切な初期治療につなげることが、患者さんの予後に大きな影響を与えると考えられています。

Gustilo分類はこう使う!

 Gustilo分類では、創の大きさ、汚染、骨折、軟部組織損傷の程度から、開放骨折の重症度を5つのグレード(typeⅠ、typeⅡ、typeⅢA、typeⅢB、typeⅢC)にスケーリングします(表)。

表 Gustilo分類

typeⅠ1cm以下の開放創。汚染と軟部組織損傷は軽度。骨折は単純またはわずかな粉砕
typeⅡ1cm以上の開放創。汚染と軟部組織損傷は中等度。骨折は中等度の粉砕
typeⅢA重度の汚染及び軟部組織損傷を認めるが、軟部組織で骨折部の被覆が可能
typeⅢB重度の汚染及び軟部組織損傷を認め、皮弁での被覆が必要
typeⅢC修復を要する動脈損傷を伴うすべての開放骨折
助川卓也,他:災害医療における骨折治療.Dokkyo Journal of Medical Sciences 2012;39(3):217-23./武田勇樹,他:第5回 外傷のプライマリケア.国立医療学会誌 2009;63(10):668-74./伊師森葉,他:重度四肢外傷における深部感染を回避するためのポイント.WOC Nursing 2021;9(4):18-26.を参考に作成

 Gustilo分類は重症度の評価とあわせて、治療方針を決める際の指標としても用いられます。例えば、typeⅢB/Cでは治療が難しく、深部感染率も高いとされていますが2)、初期治療としてデブリードマンと血行再建、骨折部の仮固定を行ったうえで損傷状態を再度評価し、骨軟部組織再建を行う「Fix&Flap」と呼ばれる治療法が一般的に選択されます3)、4)

Gustilo分類の結果を看護に活かす!

 前述したように、Gustilo分類ではグレードが高いほど(特にtypeⅢB/C)深部感染などの合併症を引き起こす可能性が高くなり、迅速かつ適切な初期治療を行うことが求められます。医師がスケーリングしたGustilo分類を念頭に、必要な処置・介助が速やかにできるよう準備し、重篤な合併症および後遺症リスクの低減につなげることが大切です。

 また、初期治療後の患者さんでは術後感染のリスクがあるほか、グレードが低く比較的軽症の患者さんであっても痛みが出現するおそれがあるため、バイタルサインの変化や患者さんの訴えを見逃さないようにしましょう。

引用・参考文献

1)Weber D,et al:Time to initial operative treatment following open fracture does not impact development of deep infection:A prospective cohort study of 736 subjects. J Orthop Trauma 2014;28(11):613-9.
2)R B Gustilo,et al:Classification of type III (severe) open fractures relative to treatment and results.Orthopedics 1987;10(12):1781-8.
3)土田芳彦,他:日本における重度四肢外傷治療体制への提言-救命救急センターは「重症四肢外傷患者」を直ちに専門施設へ転送すべきである.日外傷会誌 2016;30(4):467-8.
4)伊師森葉,他:重度四肢外傷における深部感染を回避するためのポイント.WOC Nursing 2021;9(4):18-26.
●小林由香,他:Gustilo 分類 type ⅢB 下腿開放骨折における有茎筋皮弁の治療経験.日外傷会誌 2018;32(1):1-8.
●小倉友介,他:重度前腕外傷に対しFix&Flapを行った1例.整形外科と災害外科 2018;67(2):317-5.
●助川卓也,他:災害医療における骨折治療.Dokkyo Journal of Medical Sciences 2012;39(3):217-23.

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