ホーン・ヤール(Hoehn&Yahr)の重症度分類
- 公開日: 2021/12/17
ホーン・ヤールの重症度分類は何を判断するもの?
ホーン・ヤール(Hoehn&Yahr)の重症度分類は、パーキンソン病の進行度を評価するためのスケールです。同様の指標として、厚生労働省の研究班が作成した「生活機能障害度」があり、ホーン・ヤールの重症度分類とあわせて用いられることもあります。
パーキンソン病は指定難病の1つです。ホーン・ヤールの重症度分類では、パーキンソン病の進行度を0~5度の6段階で評価しますが、3度以上が難病医療費助成制度の対象となります。
ホーン・ヤールの重症度分類はこう使う!
ホーン・ヤールの重症度分類では、身体的症状から0~5度の6段階でパーキンソン病の進行度を評価します(表)。
表 ホーン・ヤールの重症度分類0度 | パーキンソニズムなし |
---|---|
1度 | 一側性パーキンソニズム |
2度 | 両側性パーキンソニズム |
3度 | 軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要 |
4度 | 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能 |
5度 | 介助なしにはベッドまたは車椅子生活 |
パーキンソン病の症状は安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害の大きく4つが挙げられます。1度では、振戦や筋固縮といった症状が片側に、2度では両側にみられるものの、ほぼ介助は必要としないレベルです。
3度になると、振戦や筋固縮に加え、姿勢反射障害により姿勢を保つことが難しくなるためバランスが悪くなり、日常生活に支障が出ます。3度以上は、日常生活で部分的にも介助が必要となってくることから、難病医療費補助制度の適応となります。
4度では症状がさらに進行し、立ち上がったり歩いたりという動作が自力では難しくなり、5度まで進行すると自力で姿勢を保つことができず、車いすや寝たきりの全介助の生活となります。
ホーン・ヤールの重症度分類を看護に活かす!
パーキンソン病は、すべての患者さんが5度まで進行するわけではありません。しかし、症状の進行は日常生活の送りやすさ、過ごしやすさに直結するものであり、3度以上では病院の通院・受診でも介助を必要とするようになります。
入院中も、重症度により必要な看護ケアの内容が変わってきます。ホーン・ヤールの重症度分類は治療内容の検討・見直しのほか、環境整備などを行うための指標としても役立ちます。ホーン・ヤールの重症度分類を参考に、進行度に合わせたた看護ケアを提供するとともに、多職種と連携しながら適切な介助を行い、患者さんやその家族が日常生活を支障なく送ることができるよう支援していきます。