Fontaine(フォンテイン)分類
- 公開日: 2021/12/19
Fontaine分類は何を判断するもの?
Fontaine(フォンテイン)分類はRutherford分類と同様に、下肢虚血の重症度を評価する際に使用されるスケールです。主に、下肢閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis obliterans:ASO)や末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease:PAD)で用いられます。
ASOやPADでは、下肢の血管(下肢動脈)が動脈硬化により狭窄・閉塞を起こし、進行すると下肢に痛みやしびれなどの症状が出現します。Fontaine分類はこうした臨床症状から、下肢動脈の狭窄や閉塞の状態、虚血の重症度、進行度を評価していきます。重症度により治療方針が異なるため、重症度を評価することは非常に重要です。
Fontaine分類はこう使う!
Fontaine分類は、Ⅰ~Ⅳの4段階で重症度が表されます(表)。
表 Fontaine分類分類 | 症状 |
---|---|
Ⅰ度 | 無症状 |
Ⅱ度 | 間歇性跛行 |
Ⅲ度 | 安静時疼痛 |
Ⅳ度 | 潰瘍・壊死 |
Ⅰ度は下肢動脈の狭窄を認めるものの歩行に問題はありません。運動や長時間の歩行により、下肢の冷感やしびれがみられることもありますが、比較的短時間で軽快します。
Ⅱ度の間歇性跛行は、軽度(Ⅱa)と中等度~重度(Ⅱb)の2段階に分けられることもあります。間歇性跛行では、歩行中に下肢に痛みや倦怠感が出現します。これは、下肢動脈が狭窄しているため、歩行に必要な酸素を供給できないことが原因です。歩行を中断せざる得なくなりますが、休むと症状が改善し、また歩くことができるようになります。病状が進行すると連続して歩行できる距離が短くなり、すぐに休憩が必要な状態に陥ります。
Ⅲ度は、下肢動脈の狭窄・閉塞により、安静にしていても下肢の痛みが続きます。下肢を下ろすと血流がやや改善されることから、寝るときも下肢を下げている患者さんもいます。Ⅳ度は、下肢の血流が重度に障害されているため傷ができやすい状態です。できた傷は治りにくく、潰瘍や壊死に至ることもあります。
なお、Ⅲ度とⅣ度は、重症下肢虚血(Critical limb ischemia:CLI)と呼ばれ、カテーテル治療や手術を行わないかぎり、疼痛や潰瘍の治癒など症状改善が見込めません。場合によっては、下肢を切断することもあり、生命予後も不良です。
Fontaine分類を看護に活かす!
歩行により下肢に痛みが生じても症状として訴えない患者さんも多く、よく話を聞いてみてはじめて、下肢虚血の可能性がわかることもあります。
特に、糖尿病や透析中の患者さん、狭心症や心筋梗塞といった循環器疾患がある患者さんは動脈硬化が進行し、ASOを合併しやすい状態です。患者さんと接するなかで、下肢虚血を疑う症状がないか注意深く確認し、症状がある場合には、多職種と連携して速やかに治療につなげます。
また、全く症状がない状態から間歇性跛行も認めず、急にⅢ度、Ⅳ度のCLIに至るケースもあります。全く症状がなくても、動脈硬化が進行している患者さんで下肢に傷がある場合には、自覚症状だけでなく、下肢に潰瘍がないかといったことにも注意して観察します。