腰椎穿刺(ルンバール)の介助|目的、手順、観察項目、合併症とケア
- 公開日: 2021/12/13
腰椎穿刺とは
脳や脊髄は髄膜によって包まれ、無色透明の脳脊髄液(髄液)に浮いた状態で存在しています。髄液は外部環境の変化や衝撃から脳・脊髄を保護するとともに、脳の形状維持の役割を担っています。脳室やくも膜下腔を循環している髄液の量は成人で約150mLであり、1日に産生される髄液は約500mLです。1日に何度も入れ替わり、産生と吸収は均衡しています。
正常な場合、髄液圧は70~180mmH2O程度に保たれていますが、何らかの理由で髄液圧に変化が生じたり、髄液量の増加や感染症を起こすことがあります。これらの原因を精査し診断をつけるために、両側腸骨稜の最上端を結んだヤコビー線を参考に、第3-4腰椎間あるいは第4-5の腰椎間を穿刺し、髄液を採取します。これを腰椎穿刺といいます(図1)。腰椎穿刺は診断だけでなく、髄腔内への薬剤投与を目的とすることもあります。
腰椎穿刺の目的
・髄液採取による疾患の確定診断 ・髄液圧による疾患の確定診断 ・髄腔内への薬物投与腰椎穿刺の適応、禁忌
適応
・中枢神経系および髄膜の疾患が疑われる場合 ・頭痛、悪心・嘔吐、項部硬直、意識障害があり、髄膜炎、脳炎、脳腫瘍、くも膜下出血、脊髄腫瘍などを疑う場合 ・腰椎麻酔を実施する場合 ・抗菌薬や抗がん剤をくも膜下注入する場合禁忌
・出血傾向や凝固系機能に異常がある ・局所麻酔によるアレルギーを起こすリスクがある ・頭蓋内に腫瘍、血腫、脳腫脹などがあり、頭蓋内圧亢進を認める(脳ヘルニアを誘発するおそれがある) ・穿刺部位に創感染がある髄液の性状
髄液は、疾患により性状が異なります(表)。疾患ごとにみられる髄液の特徴を理解しておくことで、患者さんの状態や経過を把握するのに役立ちます。