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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の重症度分類

  • 公開日: 2023/7/7

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の重症度分類は何を判断するもの?

 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の重症度分類は、ALSの重症度を評価するためのスケールです。

 ALSは中年以降に好発し、一次運動ニューロンと二次運動ニューロンが変性・消失していく進行性の疾患です。明確な発症メカニズムは解明されておらず、日本では難病の一つに指定されています。現在のところ確立した治療法はなく、最終的には呼吸筋麻痺により人工呼吸器の装着が必要となりますが、適切な治療や介助を行わないと死に至ります。

 ALSの重症度分類を用いて重症度を評価することで、それぞれの患者さんの状態・状況に合った治療や介助につなげるのに役立ちます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の重症度分類はこう使う!

 ALSの重症度分類では、患者さんの状態や状況をもとに、ALSの重症度を5つの段階で評価します(表)。数字が大きいほど重症度も高く、2以上の場合は医療費助成の対象となります1)

 なお、重症度の評価を治療開始後に行う場合は、適切な治療を行った状態で直近6カ月の中でも最も悪い状態が評価されます1)

表 ALSの重症度分類

1家事・就労はおおむね可能
2家事・就労は困難だが、日常生活(身の回りのこと)はおおむね自立
3自力で食事、排泄、移動のいずれか1つ以上ができず、日常生活に介助を要する
4呼吸困難・痰の喀出困難、あるいは嚥下障害がある
5気管切開、非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)、人工呼吸器使用
厚生労働省:2 筋萎縮性側索硬化症.(2023年6月21日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089881.pdfより引用

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の重症度分類の結果を看護に活かす!

 ALSは根本的な治療方法が確立されておらず、病状の進行に伴い、コミュニケーション障害や呼吸障害、嚥下障害などさまざまな障害が生じ、ベッド上での生活を余儀なくされ、あらゆる場面で介助を必要とします。そのため、患者さんや家族の身体的、精神的な負担は計り知れず、患者さんはもちろん、患者さんの家族に接するときも生活状況などを把握したうえで、支援していくことが求められます。

 ALSの進行スピードには個人差がありますが、重症度が高くなると人工呼吸器の装着といった高度な医療が必要となるほか、誤嚥性肺炎などのリスクも高くなります。患者さんに合わせて状態観察や必要なケアを見直すことも大切です。

引用・参考文献

1)厚生労働省:2 筋萎縮性側索硬化症.(2023年6月21日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089881.pdf
●中島健二:神経変性疾患領域における基盤的調査研究 平成26年度 総括・分担研究報告書(2023年6月21日閲覧) https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143061/201415120A_upload/201415120A0004.pdf

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