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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

TIMI分類

  • 公開日: 2023/7/5

TIMI分類は何を判断するもの?

 TIMI分類は、冠動脈造影検査において、冠動脈の血流を評価するためのスケールです。もともと、急性心筋梗塞に対して血栓溶解療法を行った際の治療効果を評価するためのスケールでしたが、現在では、経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)で血流がどの程度改善したか判断するための指標として広く用いられています。

 ただし、TIMI分類は側副血行路の血流評価に適さない部分が多いため、側副血行路の血流評価にはRentrop分類が用いられます。

TIMI分類はこう使う!

 TIMI分類では、冠動脈の血流を4つの段階に評価することで再灌流療法の成否を判定します(表)。Grade3以上で再灌流成功、Grade2以下の場合はその後の予後不良と関連するとされます1)

表 TIMI分類

Grade
0完全閉塞で再灌流なし
1部分灌流で、明らかな造影遅延があり末梢まで造影されない
2不完全灌流で、末梢まで造影されるが造影遅延あり
3完全灌流で、造影遅延なく末梢まで造影
日本循環器学会,他:急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版).p.41(2023年6月21日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/11/JCS2018_kimura.pdfをもとに作成

TIMI分類の結果を看護に活かす!

 急性心筋梗塞に対する再灌流療法後の患者さんの看護にあたるときは、TIMI分類を正しく把握したうえでケアを行えるとよいでしょう。Grade2以下の患者さんはもちろん、Grade3以上で再灌流に成功した患者さんでも、心筋への血流が回復しない(no reflow現象)場合がある1)ほか、特に急性期の患者さんは心機能低下により急変する可能性が高いため、バイタルサインや状態確認を慎重に行っていく必要があります。

 また、TIMI分類のスケーリングにかかわらず、急性心筋梗塞に対する再灌流療法後の患者さんでバイタルサインの変化や新たな症状の訴えがある場合は、速やかに医師に報告します。

引用・参考文献

1)日本循環器学会,他:急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版).p.41.(2023年6月21日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/11/JCS2018_kimura.pdf
●山室淳:Flow-wireによる急性心筋梗塞の冠循環評価.日本冠疾患学会雑誌 2006;12(2): 135-42.
●伊藤浩: No reflow現象の病態と治療戦略.日本心臓病学会誌 2008;1 (3):134-47.

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