セルフケア不足の看護計画|高齢による認知機能低下がみられる患者さん
- 公開日: 2022/4/5
高齢による認知機能低下に関連したセルフケア不足
認知症と診断されていなくても認知機能の低下を認めることがあり、その度合いによって日常生活に支障をきたすことがあります。なんらかの疾患により入院してきた高齢の患者さんの様子から日常生活に支障が出ているのはないかと感じることがあるのではないでしょうか。そのような状況のときにどう看護計画を立てたらよいのかを考えました。
観察計画 O-P 認知機能が低下しているのかをスケールを用いて客観的に評価する。日常生活にどの程度影響が出ているのかを確認する。日常生活に影響が出ている場合、それが認知機能の低下からなのか、そのほかの疾患があり、それが影響しているのかを客観的に評価する。
援助計画 T-P 集めた情報から、援助が必要となる部分に対してケアを行う。患者さんの現在の状況を考慮した上で、どのようにすれば日常生活が問題なく送ることができるかを考える。認知機能低下の原因は治療介入ができるもの(せん妄、不穏、肝性脳症、尿毒症など)とそうでないもの(アルツハイマー型、レビー小体型など)があり、治療目的もしくは進行抑制のための薬剤の使用が考慮されます。
教育計画 E-P 入院する原因となった疾患について家族に理解してもらい、どのような症状が出るのかということを知ってもらう。また、援助が必要な場合に備えて社会的資源についても説明しておく。
*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。
看護問題
セルフケア能力の低下がある
看護目標
認知機能に応じた日常生活を送ることができる
観察計画 O-P
バイタルサイン、意識状態
客観的な指標(HDS-R、MMSE)の推移
運動障害、感覚障害、歩行障害、嚥下障害、構音障害などの有無、程度
日中の活動状況
療養環境
食事や飲水摂取状況
排泄状況(排便や排尿の回数、性状など)
睡眠状況
画像データ(CT、MRIなど)
援助計画 T-P
セルフケアを考慮した上で、必要な援助を行う
セルフケアを考慮した療養環境を調整する
症状に応じた補助具の使用を検討する
医師の指示に基づく薬剤の使用
教育計画 E-P
症状の出現、体調の変化が見られたときは伝えてもらうように説明する
認知機能が低下していく可能性が考えられることを患者や家族に説明する
疾患について患者さんや家族へ説明する
必要に応じて社会資源の活用などを説明する
看護計画を書くときに参考にしたい記事
加齢と認知機能について知っておこう
加齢が認知機能へもたらす「5つの悪影響」
認知症・認知機能障害の看護ケア|原因、症状、アセスメントのポイント
高齢者とのコミュニケーションについて知っておこう
加齢がコミュニケーションにもたらす「4つの悪影響」
高齢患者とのコミュニケーション】ケア&対応の6つのワザ