知っておこう! がん治療による皮膚障害へのスキンケア【PR】
- 公開日: 2023/1/10
この記事では、思うようにスキンケアができない患者さん、手指の亀裂がなかなか治らない患者さん、全身が乾燥している患者さんへのケアについて解説します。
退院時に皮膚障害へのケア方法を指導しましたが、しびれや指先が思うように動かせないことでケアがうまくできませんでした。このような場合はどのようにするのがよいのでしょうか。
完璧を求めず、できることから始めていきましょう
「うまく」できない場合
まず、この質問の「うまくできなかった」の「うまく」はどこまでのことかなと思いました。スキンケアは継続してやってもらわないとならず、それにはその人の生活の中に組み込んでもらうことが一番なのです。どんなときにどういったケアをしていたのかを把握し、何が足りないのか、何を組み込まなければいけないのかを考えていくとよいと思います。
「出された処方薬を塗ってください」とか「どのようなタイミングでどうやって塗ったらよいですよ」といったことを、患者さんの生活の中に交えてお話ができれば、案外取り組んでいただけるものです。退院の際のスキンケア指導は、このやり方で行うとよいでしょう。
しびれがあってもできること
しびれがあると、「均一に」とか「きれいに」を「うまく」と思っている場合、確かにそれは難しいかもしれません。今その症状でもやれることをしっかりとお伝えし、それが続けられる方向性を一緒に考えるようにしていけば、患者さんも徐々に慣れて、自分の方法を見つけていきますので、まずはそこができればよいと思います。
看護師の完璧を患者さんに押しつけると「できていない」という評価になってしまいますが、そうではなく、患者さんが今の生活の中でやれる方法と継続できるうまい方法を考えていけば、その患者さんにとっての「うまいケア」ができるのではないでしょうか。
スキンケアの習慣がなくても
静岡がんセンターではスキンケアの習慣を尋ねるようにしていますが、60歳代以上の男性のほとんどがスキンケアをしていません。昔の「男が化粧品を塗るなんて」という世代ですから、習慣がないのです。
どういった副作用が起こるのかについては、担当医や薬剤師からの指導がすでに入っています。皮膚乾燥にしても、ざ瘡様皮疹にしても、必ずこういう副作用が出ることがわかっていれば、スキンケアの習慣がなくても何ならできるか、どういうことならできるのか、取り入れてもらえそうなのはどこかを、薬剤指導の際にまずは確認していきます。
顔を洗うことや、お風呂に入って身体を洗うことはできると思いますので、洗浄は大丈夫でしょう。保湿については、べたべたするのがだめなのか、塗ること自体がだめなのか、さっぱりしていたらちゃんと塗ってくれるのか、そういうところを確認します。全身ではなくてもよいので、ではまずは手からとか顔からとか、できそうなところを患者さんと一緒に探して、入院中に1回塗って、その感触を試してみるとよいと思います。「意外にべたべたしなかった」「できた」というのがわかれば、継続していただけると思いますので、ひとつずつ探していくのがよいでしょう。
塗ること自体をしたくないという場合は,保湿剤入りの入浴剤などから慣れてもらうのもひとつの方法です。失敗をすると二度と取り入れてくれないことが多いので、できそうなこと、やれそうなことを少しずつ広げていくのが一番かと思います。
ご家族のサポート
ご家族が「ちゃんとやらなきゃだめだよ」と後押ししてくださることもあります。ご本人だけに言っても無理かなと思ったら、ご家族がいるところで話をすると説得力と継続へのサポートに繋がることもあります。
日焼け止めに慣れる
保護の中でも紫外線予防は大切ですが、日焼け止めは習慣がないと男女問わずなかなか塗ってもらえません。家の中でも塗っている人は本当に少ないですが、SPF20~30、PA++程度の化粧水タイプでさらっと塗れるものを勧めたり、塗るのがどうしても嫌な場合は、日傘、サングラス、帽子、スカーフ、アームカバーなどのうち、できそうなのはどれか選んでもらったりしています。ただし、畑仕事では絶対に塗るように強く言っています。
紫外線予防の必要性をしっかりと説明し、なぜしなければならいのか理解ができれば、自分が痛い思いをするのが嫌な人は、必ず取り入れてくれると思います。
指の亀裂がなかなか治らず、傷があるため絆創膏を何枚も使い保護し、手を洗うのも控え、新型コロナウイルス感染予防のためのアルコール消毒もできない状態です。一日中ビニール手袋を装着して過ごしているようですが、どのようにケアをすればよいのでしょうか。
手を使わない就寝時にしっかりとケアを行います。
手を使わない夜間に集中ケア
指先は使う頻度が高く物理的刺激を受け続けるところなので、亀裂はなかなか治りません。絆創膏をぐるぐる巻きにして使う患者さんは、おそらくたくさんおられることでしょう。日中はこういうふうにせざるをえないのであれば、これを止めるのは難しく、しかたないように思います。その代わりに夜間は必ず絆創膏を外して、油性の軟膏、いわゆるワセリンをべたべたに塗って手袋をして寝るようにします。夜の間に浸透していきますので、時間はかかっても少しずつよくなっていくと思います。痛みが出現して副腎皮質ステロイド薬を要する場合は、テープ式のステロイド薬(ドレニゾンテープなど)を皮膚科医に処方してもらい、患部に貼って手袋をして就寝します。手を使わないときにしっかりと保護・保湿ケアをする方向性で進めます。
就寝時の手袋は、綿素材はワセリンがつくと洗うのが大変ですから、ビニール手袋でもかまいません。手袋は就寝途中で無意識に外してしまうことが多いようですが、それでもつけている時間、保湿している時間があれば、やらないよりはずっとよいのです。ビニール手袋は通気性がありませんので、一日中つけているとおそらく蒸れてしまいます。蒸れたなと思ったら手袋を外し、手を洗って絆創膏を張り替えるか、タオルなどでしっかり拭いて乾燥させてから、もう一度手袋をつけるとよいでしょう。
抗がん薬の使用で全身が乾燥し、ストーマパウチが身体に貼れない状態になってしまいました。このような場合、どう対処すればよいでしょうか。
入浴をし、皮膚に水分を取り込ませるとよいでしょう。
全身のドライスキンは入浴で水を補う
ストーマ装具は面板が皮膚保護剤になっており、ストーマ装具自体が貼れないことはあまりなく、むしろ貼っている箇所のほうが潤っていることがあるくらいです。ですからこの方は、全身に水が足りない状態に陥っていると考えられます。たいていは体調が悪くて入浴できていないことが多いので、一度お風呂に入って全身に水を入れると、意外にくっつくようになることがあります。保湿剤入りの入浴剤のお風呂に入って保湿をしてから貼ってもよいですし、保湿剤を塗った後でも装具が貼れるタイプの保湿剤をストーマメーカーが販売していますので、それらを活用してもよいでしょう。乾燥が始まったばかりの方には、セラミド入りの装具に変えてみるのもひとつの方法かと思います。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。