どうする? 頭皮に痂皮形成がひどい患者さん【PR】
- 公開日: 2022/12/20
ざ瘡様皮疹の症状がみられ、頭皮に痂皮形成がある患者さんへのケアについて解説します。さらに、放射線治療で色素沈着がみられる患者さんへのケアも紹介します。
ざ瘡様皮疹の頭皮に痂皮形成がひどく、搔痒、疼痛が強い患者さんのスキンケア指導について教えてください。
オイルを使って、少しずつ取り除いていきましょう。
頭皮の痂皮を取り除く手順
ざ瘡様皮疹によって痂皮が形成されると、痂皮が蓋となって保湿剤が浸透しなくなるため、余分な痂皮は落とさないとなりません。無理矢理取るわけにはいきませんから、頭皮を少し湿らせ、オリーブオイルを少し塗ってから温タオルを乗せて蒸らし、痂皮を軟らかくして、ゆっくりゆっくり取り除いていきます。一気には取れないので、何回か、何日かに分けて実施します。痂皮を取り除いた後は、もう1回泡で洗って押さえ拭きをしてから、副腎皮質ステロイド薬を外用します。
頭皮は自分ではなかなか見にくいので、外来で医療サイドが痂皮を落としたり、ご家族に手伝ってもらうことが多いと思います。オリーブオイルの塗布は膜を張って浸軟させることが目的ですから、美容オイルなどで代用してもかまいません。
顔面の痂皮を取り除く手順
男性にはスキンケアの習慣がなく、顔を洗ったり、何かを塗ることが苦手な人が多いので、顔全体に痂皮がぴっちりくっついてしまうことがあります。痂皮を落とさないと何もケアが入っていきませんから、まずは洗うところから始めます。洗ってふやかして痂皮を少しずつ落としていきます。痛みはそこまで強くはないのですが、痂皮を取り除くのは痛いのではという恐怖が患者さんにはありますので、湿らすところから慣らし、少しずつケアを進めていきます。
洗面では顔に泡をつけてもらいます。一瞬つけるだけでさっと流してもよいので、そうやって洗うという習慣づけをまずは行います。これだけでも少しずつ痂皮は取れていきますので、自分の顔がだんだんきれいになっていくのを目の当たりにできます。すると、しっかりと洗って塗ることができるようになっていきますので、二度と痂皮が酷いという状況にはならないように思います。
かゆみや痛みのケア
かゆみや痛みは保湿で治ることのほうが多いです。はじめは痂皮を取り除いてからステロイド薬を塗ることを習慣づけ、症状がなくなったらステロイド薬から離脱し、もとの普通のスキンケアに戻していきます。ざ瘡様皮疹が出現する部位によってステロイド薬が塗りにくいこともありますが、テープ式のステロイド薬(ドレニゾンテープなど)を用いることもできますので、症状と部位と薬剤の組み合せを皮膚科医に相談するとよいと思います。
予防のポイント
頭皮を清潔にしておくことはやはり大切で、シャンプーでしっかりと洗っておきます。シャンプーは香りの強いものは避け、弱酸性などの刺激の少ないものを選び、頭皮で泡立てるのではなく、手のひらで泡立てたものを頭にのせて、やさしくこすってから流すとよいでしょう。ほかに紫外線を予防するためにキャップを被ったり、刺激からの保護はしておくようにします。
放射線治療の皮膚トラブルで色素沈着してしまった後のケアを教えてください。
しっかりと保湿を行うことが大切です。
色素沈着が起こるメカニズム
色素沈着は何らかの原因によって皮膚の色調が変化することで、たいていはメラニン色素の過剰産生や皮膚組織への沈着によって起こります。放射線治療に伴う色素沈着は、放射線照射によって皮膚の基底細胞が影響を受け、ターンオーバーがうまくできなくなって生じます。
色素沈着のケア
色素沈着した部位にはメラニン色素が沈着していますから、ターンオーバーで剥がれ落ちていかない限り、きれいにはなりません。色素沈着は完全にはもとに戻りませんが、薄くなればよくなってきたと判断できると思います。ターンオーバーがうまくいっていないときは、皮膚自体が菲薄化していてトラブルが起きやすくなっていますから、ターンオーバーをなるべく正常に近づけるために、保湿剤を用いて保湿を続けていくことが一番のケアとなるでしょう。
色素沈着が生じる前には放射線治療に伴う皮膚の炎症を起こしていますから、この段階で軟膏の塗り方や保護のしかたを教えています。軟膏による皮膚の保湿や、衣服から露出する部分にはスカーフを巻いたり、日焼け止めを塗ることは、皮膚炎が落ち着いてからも続けていきます。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。