第4回 発見したらすぐに対処! 免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害のケア【PR】
- 公開日: 2023/12/20
比較的軽症の皮膚障害がみられる
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害は、高頻度で、比較的軽症のものが多い傾向があります。よくみられるのは播種状紅斑丘疹型、尋常性乾癬、扁平苔癬で、重症のものには多型紅斑や水疱性類天疱瘡があります(表)。これらの皮膚障害は、免疫反応が過剰になることで生じています。
表 免疫チェックポイント阻害薬で起こる皮膚障害の主な症状
疾患名 | 主な症状 |
播種状紅斑丘疹型 | 紅斑や丘疹がみられる。薬疹の大半がこれにあたる |
尋常性乾癬 | 赤みやかゆみがみられ、紅斑や発疹ができたあと、 その部分が乾燥し角質が剥がれ落ちる |
扁平苔癬 | 赤や紫紅色の発疹ができる。発症部位は、口腔、四肢、陰部など |
多型紅斑 | 紅斑が環状に広がっていく。発症部位は、四肢、顔、手のひら、足の裏など |
水疱性類天疱瘡 | 掻痒を伴う紅斑や水疱ができる。全身のさまざまな部位にできる |
播種状紅斑丘疹型は身体のどこにでもできますが、関節部や四肢に現れやすい傾向があります。尋常性乾癬は、特に下肢に多く、前腕や手背など紫外線を浴びるところにも出現しやすいようです。
湿疹のようなものがみられた場合、それが免疫チェックポイント阻害薬の影響でirAE(免疫関連有害事象)として出現しているのか、ほかの薬剤によるものか、またはごく普通の湿疹なのか、わからないことも少なくありません。基本的に免疫チェックポイント阻害薬では薬疹が出やすいことと、いずれにせよ治療は副腎皮質ステロイド薬の外用か内服であることから、なんらかの皮膚症状が現れたら薬疹と考えて対処するとよいでしょう。免疫チェックポイント阻害薬による薬疹では、ほかの薬疹よりも早くからステロイドを使ったほうがよいので、皮膚症状が出始めたら様子をみるのではなく、CTCAE v5.0 グレードが1や2でも、できるだけ早く皮膚科を受診します。範囲が広い場合や、症状が広がりつつある場合、陰部にみられる場合、QOLを下げるような症状がある場合には、早急に皮膚科医の診察が必要です。
ケアのポイント
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害でも、予防のため保湿と保清をしっかり行うことが基本です。症状が出現したら、保湿を続けつつ、ステロイドの外用薬や内服薬を使用します。少し赤くなっていたり、ブツブツとした皮疹がみられたら、患部にステロイドを塗ります。1日で急速に症状が進むことがあるため、発見したらすぐに対処し、酷くなる前に治療開始できるようにしましょう。
陰部に発症すると痛みが強くなるため、範囲が狭くてもすぐに治療を開始したほうがよいです。患者さんからはなかなか言い出せない部位であることから、「最近、気になっていることはないですか?」「何か急に新しくブツブツが出始めたところはありませんか?」といった声がけを行い、患者さんが話し出せるよう援助しましょう。
Q&A 読者の質問に答える! がん治療によって起こる皮膚障害へのケア
チロシンキナーゼ阻害薬を内服中の皮膚障害、皮疹や多形紅斑で掻痒感や乾燥が強く保湿剤が刺激になり皮膚保清の方法に困りました。どのようにすればよいのでしょうか。
保湿剤はワセリンもダメだったのでしょうか。ワセリンはしみにくいものの、ベタつくから使いにくいという欠点もあります。その他の保湿剤としてヒルドイド®もありますが、しみるという方もいます。市販されている保湿剤も多数あり、中にはしみないものあり、きっと使えるものがあると思います。どんなものでもよいので、毎日使用できそうな、合うものをサンプルなど利用していろいろと探してみてください。
それでも難しければ、保湿成分が入った入浴剤が便利なのではないでしょうか。
放射線照射での患部治療の際の皮膚障害に関して、出血がひどかったり乾燥がひどかったりしていました。その都度、止血剤の塗布や軟膏塗布での対応をしていましたが、なかなか軽減しませんでした。皮膚障害の症状(痛みやかゆみ等)の改善を図るにはどのようなケアを心がけるとよいのでしょうか。
なんらかの被覆材を使う必要があると思います。放射線皮膚炎に使用できる被覆材を使ってもらうのが一番よいでしょう。皮膚が薄くなるので、通常のガーゼでは浸出液や出血で創部に固着し、剥がすときに皮膚も剥離し創傷治癒遅延の原因となります。非固着性タイプの被覆材を使ってください。
皮膚がめくれていない状態なら、痛みやかゆみに対してはステロイドのローションを使い、皮膚がめくれている場合は、感染が怖いので、アズノール®軟膏などをつけて保護するとよいでしょう。
放射線皮膚炎に対しては、症状にあった被覆材を選ばないとうまく改善しませんので、皮膚科を受診し、指示をいただくことが大切だと思います。
放射線治療の色素沈着、化学療法の顔面紅潮からの色素沈着で、予防策や沈着が定着した後のケア(乾燥、掻痒感)の方法を教えてください。色素沈着は経年的に消退する場合もあれば、残る場合もあり、自己ケアをどう提案したらよいか知りたいです。
色素沈着は、放射線治療が終ったあと、保湿と日焼け対策をしっかり続ければ、徐々に薄くなっていきます。放射線治療をがんばって続けてきたことをねぎらいつつ、「皮膚もしっかり治していきましょう」と言って、支援していきましょう。
保湿剤や日焼け止めはどんなものでもかまいませんから、手に入りやすく、使いやすい好みに合ったものを探してください。日傘や、紫外線カット機能がある洋服なども活用するとよいでしょう。
下肢浮腫で、蜂窩織炎になりました。浮腫に関しては本人は運動不足だからと言っていましたが、蜂窩織炎にならないようにするためにスキンケアなど予防のケアを教えてください。
下肢のうっ滞があると蜂窩織炎が起きやすくなりますから、蜂窩織炎を予防するには、弾性包帯や弾性ストッキングがよいと思います。日中はそれらを着用し、夜間は外してかまいません。また皮膚の保湿もしっかり行うようにしましょう。
リンパうっ滞があると紅斑が生じることもあり、蜂窩織炎による発赤との区別が難しいことがあります。蜂窩織炎の場合は熱感が強く、血液検査でCRPが上昇しています。蜂窩織炎なら抗生物質による治療が必要ですから、皮膚の色や熱感など、気になる症状があったら、できるだけ早く主治医に相談してください。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。