1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 産科・NICU
  5. 母性に関する看護計画|大きな問題がなく妊娠が経過している方

【連載】症例ごとに看護計画を紹介!

母性に関する看護計画|大きな問題がなく妊娠が経過している方

  • 公開日: 2023/1/14
  • 更新日: 2025/5/20

大きな問題がなく妊娠が経過している方への看護計画

 周産期では、妊婦さんが心身共に安定した状態で出産に臨める環境を整えることが大切です。また、妊娠経過に大きな問題を認めない場合でも、妊婦さんが置かれている状況によっては個別支援が必要となる場合があります。妊婦さんとのかかわりを通して抱いた違和感を見極め、必要な支援につなげられるようにしましょう。

進行性変化とは

 進行性変化とは、乳腺の発達や乳汁分泌の開始など、出産後に新たに獲得する変化のことです。進行性変化に対する看護では、乳房についての観察やケアが重要です。

 乳房の観察は、授乳のタイミングなどに1日数回触診をして経過を追います。乳房の張りについての記録方法は、病院により異なります。例として以下を参考にしてください。

●−(なし)
●+(軽度)
●++(中等度)
●+++(高度)

 また、乳汁分泌の経過は以下の通りです。

表1 乳汁分泌の経過

経過期間 種類 粘稠度
産後~産褥5日頃 初乳 黄色、淡黄色 粘稠性
産褥6~14日頃 移行乳 黄色から白色に変化していく 徐々に水様性に近づく
産褥14日以降 成乳 白色、不透明 水様性

 記録を記載する際は、以下を参考にしてください。

例)産褥3日目
乳房:++(中等度の張り)、熱感・圧痛なし
乳頭:突出、亀裂・出血なし、発赤なし
乳汁分泌:分泌あり(中等量)、黄色、粘稠性あり
授乳状況:1日8回、各20分、授乳時の痛み・不快感なし

 進行性変化の観察ポイントを紹介しますので、参考にしてください。

表2 進行性変化の観察ポイント

乳房(張り、熱感、圧痛の有無・程度)
乳頭・乳輪(形状や大きさ、亀裂、出血、痛み、発赤の有無・程度)
乳汁分泌(分泌開始時期、分泌量の有無・程度、左右差、乳汁の色・粘稠度)
授乳の頻度・時間
児の吸啜力
授乳時の乳頭、乳輪の痛みや不快感の有無・程度
栄養(食欲の有無・程度、食事摂取量、水分摂取量)
休息(睡眠時間、疲労感の有無・程度)
適切なポジショニングがとれているか
ラッチ・オンを習得できているか

POINT

観察計画 O-P 妊娠週数に応じた経過をたどっているかを確認し、流産・早産リスクや妊娠合併症などのリスクの有無を確認する。また、妊娠に至るまでの経緯や妊婦さんの気持ちの揺らぎ、パートナーや家族との関係性、生活状況などから得られる気づきが大切にできるような視点を含める。

援助計画 T-P 妊婦さんの心身のケア、そして妊娠の経過や妊婦さんが置かれている状況に応じた支援調整が行えるプランを立案する。また、栄養指導やマタニティビクスなど、妊婦さんの状態に合わせたアクティビティへの参加勧奨も大切。

教育計画 E-P 胎児の成長と共に母体にかかる負担は増大する。妊婦さんとその家族が、妊娠に対する適切な知識をもとにセルフケアができる、または必要なサポートを得ながら周産期を過ごせるように指導していく。

*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。

■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

がん終末期の疼痛で身体可動性障害のある患者さんに関する看護計画

NEW

がん終末期の疼痛で身体可動性障害のある患者さんに関する看護計画  がんとは、細胞の中にある遺伝子に異常が生じて、その異常な細胞が無秩序に増えていく細胞のかたまりを指します。化学療法、放射線療法、手術によってもコントロールがつかずに局所あるいは全身でがんが進行して終末期を迎え

2025/5/24