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【連載】症例ごとに看護計画を紹介!

子宮復古に関する看護計画|退行性変化に関する看護計画

  • 公開日: 2023/2/27
  • 更新日: 2025/5/21

子宮復古に関する看護計画

 産後、子宮は収縮を繰り返しながら4~6週間で妊娠前の大きさに戻ることを子宮復古といいますが、子宮収縮が順調に進まないケースがあります。この子宮復古不全の徴候をいち早くつかみ、母体の健康を保てるような視点をもつことが大切です。

退行性変化とは

退行性変化とは、妊娠や出産によって変化した母体が、約6〜8週間かけて元の状態に戻る過程のことです。退行性変化の看護は、主に子宮復古についての観察やケアとなるため、子宮底の高さと悪露についての観察が特に重要です。

 子宮底の高さは排尿を済ませて仰臥位になってもらい、以下の方法で測定します。

●恥骨結合上縁から子宮底までの長さをメジャーで測る
●臍から子宮底までの長さを手指で測る

 正常な経過は以下の通りです。

表 子宮底の高さの目安

経過期間(目安) 子宮底の高さ
分娩直後 ・臍下2~3横指
・11㎝
分娩後12時間 ・臍高(やや右に傾く)
・15㎝
産褥1~2日 ・臍下1~2横指
・12㎝
産褥3~4日 ・臍下3横指
・10㎝
産褥5~6日 ・臍高~恥骨結合上縁の中央
・9㎝
産褥7~9日 ・恥骨結合上縁
産褥10日 ・腹壁上から触れられない

 また、悪露の経過は以下の通りです。

表2 悪露の経過

経過期間(目安) 悪露の色 悪露のにおい
分娩直後~産褥3日 赤色 血液のにおい
産褥3日~2週 褐色 軽い臭気
産褥2~4週 黄色無臭
産褥4~8週 白色 無臭
産褥8週以降 消失無臭

 記録を記載する際は、以下を参考にしてください。

例)産褥4日目
子宮底:臍下3横指、硬度良好
悪露:褐色、中等量、軽い臭気あり、凝血塊なし
後陣痛:軽度の痛みあり

 子宮底や悪露の経過は、バイタルや排泄状況も関係します。退行性変化の観察ポイントを紹介しますので、参考にしてください。

表3 退行性変化の観察ポイント

子宮(子宮底の高さ、硬度、圧痛の有無・程度)
悪露(量や色の変化、凝血塊や悪臭の有無)
後陣痛(痛みの程度・有無)
バイタルサイン(体温、呼吸、脈拍、血圧)
尿(回数、尿意の有無、排尿時痛の有無、尿混濁の有無)
便(回数、腹部膨満感の有無)
栄養(食欲の有無・程度、食事摂取量、水分摂取量)
休息(睡眠時間、疲労感の有無・程度)
会陰部(疼痛の有無・程度、牽引痛の有無・程度)
離床時間
産褥体操への取り組みの有無・程度

POINT

観察計画 O-P 日数に応じた子宮復古であるかを把握し、子宮復古の妨げとなる要因がないか確認する。妊娠の経過や分娩方法も子宮復古の経過を見ていくうえで大切な情報となる。

援助計画 T-P 肺産褥日数に応じた子宮復古がなされていない場合、適切な治療につなげていく。また、褥婦の健康状態や回復状況に応じた環境整備を行い疲労回復と精神的ケアに努める。

教育計画 E-P 褥婦が子宮復古不全の徴候を把握することで、悪露の状態や自覚症状を医療従事者に報告でき必要な医療につなげる。

*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。

■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2

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