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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

出雲スケール

  • 公開日: 2024/3/7

出雲スケールは何を判断するもの?

 出雲スケールとは、機能性消化管障害(functional gastrointestinal disorders:FGIDs)の患者さんが訴える消化器症状を総括的に評価し、症状によって引き起こされるQOLの低下の程度を判断するためのスケールです。

 何らかの消化器症状が認められるにもかかわらず、画像検査や内視鏡検査などでも原因となる異常が発見できない病態をFGIDsと呼びます。FGIDsには、胸やけを主症状とする「非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)」、胃痛や胃もたれを主症状とする「機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)」、下腹部痛や下痢・便秘を主症状とする「過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)」などがあり、それぞれ主たる症状を基盤とした異なる基準で診断が行われてきました。

 しかし、これらの症状は重なって出現する場合もあること、経過とともに症状が変化する場合もあることなどから、消化器症状全体で評価ができるスケールが求められるようになり、日本では独自に出雲スケールが生まれました。

出雲スケールはこう使う!

 出雲スケールでは、胸やけ・胃痛・胃もたれ・便秘・下痢の5つの消化器症状に関する質問に対し、患者さん本人が「全く困らなかった」「あまり困らなかった」「少し困った」「困った」「かなり困った」「がまんできないくらい困った」の6段階のなかから回答を選択して評価を行います(表)。質問は全部で15項目あり、所要時間は5分程度です。

 消化器症状の影響で日常生活に支障があったとした患者さんのスコアは、そうではないとした患者さんのスコアと比べて有意に高かったことから1)、出雲スケールは消化器症状によるQOLの低下を的確に評価するのに役立つと考えられています。

表 出雲スケール

出雲スケール
古田賢司,他:消化器症状を有する患者のQOL評価のための問診票 「出雲スケール」の作成とその検証.日本消化器病学会雑誌 2009;106(10):1478-87.より引用

出雲スケールの結果を看護に活かす!

 FGIDsが疑われる患者さん、あるいはFGIDsと診断された患者さんの看護にあたるときは、出雲スケールで患者さんが悩んでいる症状やQOLの低下の程度を把握し、状態観察やケアに活かせるとよいでしょう。ストレスなど心理的要因が強い場合は、抑うつや不安といった精神的な不調が生じるケースもあるため、精神的なケアが必要となることもあります。

引用・参考文献

1)古田賢司,他:消化器症状を有する患者のQOL評価のための問診票「出雲スケール」の作成とその検証.日本消化器病学会雑誌 2009;106(10):1478-87.
●徳丸季聡,他:実臨床における評価(4)消化吸収状態の把握.臨床透析 2022;38(12):1504-8.
●奥見裕邦:消化器疾患にともなう抑うつ、不安.心身医学 2023;63(6):513-9.
●本郷道夫:機能性消化管障害.日本内科学会雑誌 2013;102(1):1-3.

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