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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

円形脱毛症の重症度

  • 公開日: 2024/10/7

円形脱毛症の重症度は何を判断するもの?

 円形脱毛症の重症度は、脱毛範囲や進行度を客観的に評価するために用いられます。

 円形脱毛症は、円形または楕円形の脱毛が突然生じる疾患です。小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症し、頭部のみならず、眉毛や睫毛、髭、体毛などにみられることもあります。はっきりとした原因はわかっていませんが、近年は「自己免疫性疾患」を原因とする説が有力視されており、『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』(以下、ガイドライン)でも、この説を支持しています1)

 脱毛部の数・範囲・形態などによりタイプが分かれ、1カ所に脱毛がみられる「単発性通常型(単発型)」、複数箇所に脱毛がみられる「多発性通常型(多発型)」、頭部全体に脱毛が生じる「全頭型」、全身に脱毛が及ぶ「汎発型」、頭髪の生え際が帯状に脱毛する「蛇行型」が主なタイプとして挙げられます。

 円形脱毛症に対しては、ステロイド局所注射、局所免疫療法、ステロイド外用療法などが行われますが、円形脱毛症のタイプに加え、重症度によっても治療法が変わるため、円形脱毛症の重症度を用いて、どの程度の状態であるのかを評価することが必要です。

円形脱毛症の重症度はこう使う!

 円形脱毛症の重症度では、頭部全体の面積に占める脱毛面積の割合(S)と、頭部以外の脱毛の程度(B)により、重症度を評価します(表)。一般的に、脱毛面積が広いほど(SおよびBの数字が大きいほど)重症で治りにくいとされ、ガイドラインではS2以上(脱毛面積が25%以上の場合)を重症としています1)

 また、前述したように、円形脱毛症の重症度は、治療法を検討する際にも用いることができます。例えば、「成人でS1以下の単発型および多発型」の場合はステロイド局所注射療法が、「年齢に関係なく、S2以上の多発型、全頭型や汎発型」の場合は局所免疫療法が推奨されています2)

表 円形脱毛症の重症度

S0脱毛がみられない
S1脱毛巣が頭部全体の25%未満
S2脱毛巣が25~49%
S3脱毛巣が50~74%
S4脱毛巣が75~99%
S5100%(全頭)脱毛
B0頭部以外の脱毛なし
B1頭部以外に部分的な脱毛がみられる
B2全身全ての脱毛
日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員会:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版.日本皮膚科学会雑誌 2017;127(13):2743.(2024年9月13日閲覧)https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdfより引用

引用文献

1)日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員会:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版.日本皮膚科学会雑誌 2017;127(13):2743.(2024年9月13日閲覧) https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf
2)日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員会:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版.日本皮膚科学会雑誌 2017;127(13):2746-9.(2024年9月13日閲覧) https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

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