【連載】こんなときどうする? 採血・注射・輸液の困難ケース攻略法
【採血・注射】血管が見えない! そんなときに使える2つのテクニック
- 公開日: 2014/6/1
- 更新日: 2025/7/1
攻略法1:解剖生理を理解し、触って探る
このようなケースに対応するには、基本となるのが解剖生理学をしっかりと理解しておくことです。 まずは、血管が太くて安定した血量のある「橈側皮静脈」「尺側皮静脈」「肘正中皮静脈」を狙うのがよいですが、注射部位周辺の皮膚の下の血管や神経の走行、骨の位置などをイメージしながら、目視だけでなく触ってみて、血管を探ります。血管に触れたときの感触など指先の感覚を研ぎ澄まして探ることが重要です。
図1 前腕神経の走行
攻略法2:血管を浮き出させる方法を実践する
血管が浮き出てこないときは、穿刺部位を心臓より低くしてうっ血状態をつくり、その後駆血帯を締めます。それでも出ない場合は、駆血帯を外し手指から肘を温める方法や、手首から肘に向かって前腕のマッサージを数回行う方法があります。おすすめの方法は温めることです。特に寒い季節の血管収縮には効果があります。腕にホットタオルやカイロを当てたり、洗面器にお湯をはって腕を浸けたりして温めましょう。採血前に温かい飲み物で身体を温めてもらうのも1つの手です。 脱水状態でも血管が縮むため、患者さんには採血前には水分を摂取しておくように伝えましょう。
以前よく行われていた、駆血帯を締めた腕の穿刺部位を軽く叩く方法は、患者さんにとって痛みを感じるだけでなく、血管収縮によって血管が細くなって見えにくくなるうえ、血管が弱い場合は内出血を起こすこともあるので、好ましい方法ではありません。また、手のひらをグーパーグーパと開閉するクレンチングは、過度に行うと血清カリウム値を高くするので注意します。