高齢患者さんへの穿刺時に皮下出血したら、どうする?
- 公開日: 2023/8/15
Q. 高齢者の患者さんで血管に針を刺したら、血液が漏れて腫れて皮下出血してしまいました。こういうときはどのように対処すればよいでしょうか。
A. 直ちに針を抜き、圧迫止血を行います。患者さんに自然に治癒することを伝えます。
止血後、内出血が起きている部位は保護する
穿刺時の皮下出血は、主に体動などで針が動き、血管が損傷することで起こります。特に高齢者では、血管の脆弱化により、少しのダメージでも皮下出血が起こりやすくなっているため、穿刺の手技では注意が必要です。
穿刺時に皮下出血がみられたら、直ちに針を抜き、圧迫止血を約5分間行います。抗凝固薬を内服している患者さんの場合は、少なくとも15分間は圧迫止血を継続します。できる限り、看護師が自分の手で圧迫止血を続けることが理想的ですが、状況的に難しい場合は止血バンドを使用するとよいでしょう。ただし、患者さんには自己判断で止血バンドを外さないように説明し、定期的に観察して止血の確認を行います。
内出血が起きている部位は、皮膚の脆弱化がさらに進んでいるため、わずかな外的刺激でも皮膚が剥離しやすい状態です。表皮が剥離すると感染リスクが高まるため、包帯やネット包帯などで保護しましょう。
多くの場合、内出血は自然に治癒しますが、1日1回は皮膚の状態を確認し、悪化傾向にある場合は医師の診察へとつなぎます。患者さんには、内出血は基本的には自然に治癒すること、治るまでの期間には個人差があることを伝え、患者さんの不安を軽減するようにします。
また、筋肉注射の中には、薬剤の吸収を早め、薬剤の局所貯留による硬結や疼痛を防ぐために、注射部位を軽くマッサージする(揉む)ことが推奨されている薬剤があります。そのため、注射後に穿刺部位を揉んでしまい、内出血を起こす患者さんもいます。必要時は看護師がマッサージするようにし、患者さんには穿刺した部位を揉む必要がないことを伝えましょう。