心電図でみる心室頻拍(VT)の波形・特徴とは?
- 公開日: 2015/3/2
心室頻拍(VT)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。
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不整脈の看護|検査・治療・看護のポイント
心電図で見る特徴
単形性心室頻拍
先行するP波がない幅広いQRS波が連続して発生
多形性心室頻拍(トルサード・ポアン)
尖った部分がねじれている波形。自然停止することもあるが、多くは突然死に直結する
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心室頻拍(VT)についてまとめました。
どんな不整脈?
心室で起こる異所性刺激が連続して発生し、頻脈となります。経過観察でよいものもありますが、持続すると血行動態の悪化や心筋虚血を生じて時に致死的となる重篤な不整脈です。
単形性心室頻拍と多形性心室頻拍
心室頻拍は大きく以下の2つに分類され、pulseless VT(パルスレスブイティ)や血行動態が不安定な多形性心室頻拍では、ただちに電気的除細動が行われます。
1. 単形性心室頻拍・・・同じQRS波形が連続する
2. 多形性心室頻拍・・・QRS波形の形が変化する
基礎疾患に注意
特に基礎疾患に心疾患やQT延長症候群、QT短縮症候群、ブルガダ症候群をもつ場合には、心室頻拍が出ると重症化しやすいので注意を要します。
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どんな危険が?
心室細動に移行し、死に至ることがある
危険なサイン
1. 幅広いQRS波が3連、4連発以上連続して発生(心疾患がある場合は、単発でも要注意)
2. 動悸、呼吸困難、めまい、失神、意識消失
主な症状
1. 動悸
2. 呼吸困難
3. めまい
4. 失神、意識消失
5. 心拍数100~250回/分
主な原因
1. 心疾患(心筋梗塞、拡張型心筋症など)
2. QT延長症候群
3. QT短縮症候群
4. ブルガダ症候群
主な治療
1. 脈が触れない場合(pulseless VT)、血行動態が不安定な多形性心室頻拍は電気的除細動
2. 薬物療法
3. カテーテルアブレーションによる根治治療
4. 突然死予防としてCRT-Dを検討
(『ナース専科マガジン』2010年1月号から改変利用)
【心電図クイズ】
<練習問題編②>除細動および絶え間のないCPRが必要な心電図波形には何を思い浮かべますか?
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