1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 循環器科
  5. 心電図
  6. 不整脈・心電図の異常
  7. 心電図でみる心室頻拍(VT)の波形・特徴とは?

【連載】苦手克服応援企画【心電図】

心電図でみる心室頻拍(VT)の波形・特徴とは?

  • 公開日: 2015/3/2

心室頻拍(VT)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。


▼不整脈の看護について、まとめて読むならコチラ
不整脈の看護|検査・治療・看護のポイント


心電図で見る特徴

単形性心室頻拍

単形性心室頻拍
 先行するP波がない幅広いQRS波が連続して発生

多形性心室頻拍(トルサード・ポアン)

多形性心室頻拍
 尖った部分がねじれている波形。自然停止することもあるが、多くは突然死に直結する

【関連記事】
 * <読み方・対応編⑧> トルサード・ド・ポアンツ(TdP)

心室頻拍(VT)についてまとめました。

どんな不整脈?

 心室で起こる異所性刺激が連続して発生し、頻脈となります。経過観察でよいものもありますが、持続すると血行動態の悪化や心筋虚血を生じて時に致死的となる重篤な不整脈です。

単形性心室頻拍と多形性心室頻拍

 心室頻拍は大きく以下の2つに分類され、pulseless VT(パルスレスブイティ)や血行動態が不安定な多形性心室頻拍では、ただちに電気的除細動が行われます。

 1. 単形性心室頻拍・・・同じQRS波形が連続する
 2. 多形性心室頻拍・・・QRS波形の形が変化する

基礎疾患に注意

 特に基礎疾患に心疾患やQT延長症候群、QT短縮症候群、ブルガダ症候群をもつ場合には、心室頻拍が出ると重症化しやすいので注意を要します。

【関連記事】
 * QT延長症候群・QT短縮症候群とは?
 * ブルガダ症候群とは? 原因・心電図(波形)の特徴

どんな危険が?

 心室細動に移行し、死に至ることがある

危険なサイン

 1. 幅広いQRS波が3連、4連発以上連続して発生(心疾患がある場合は、単発でも要注意)
 2. 動悸、呼吸困難、めまい、失神、意識消失

主な症状

 1. 動悸
 2. 呼吸困難
 3. めまい
 4. 失神、意識消失
 5. 心拍数100~250回/分

主な原因

 1. 心疾患(心筋梗塞、拡張型心筋症など)
 2. QT延長症候群
 3. QT短縮症候群
 4. ブルガダ症候群

主な治療

 1. 脈が触れない場合(pulseless VT)、血行動態が不安定な多形性心室頻拍は電気的除細動
 2. 薬物療法
 3. カテーテルアブレーションによる根治治療
 4. 突然死予防としてCRT-Dを検討

(『ナース専科マガジン』2010年1月号から改変利用)

【心電図クイズ】
<練習問題編②>除細動および絶え間のないCPRが必要な心電図波形には何を思い浮かべますか?

【関連記事】
 * 心室細動(Vf)|心電図でみる波形・特徴とは?
 * 心電図でみる洞不全症候群(SSS)の波形・特徴とは?
 * 心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴とは?

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

不整脈(心房粗動)のある患者さんへの看護計画|カテーテルアブレーションを実施する患者さん

心房粗動でカテーテルアブレーションを実施するために入院した患者さんに対する看護計画  心房粗動とは心房で持続する規則的な電気刺激によって生じる不整脈で、そのままの状態が続くと心機能の低下リスクや、血栓が生じる可能性があり脳梗塞の発症リスクが高くなります。そのため薬物療法とし

2024/3/30

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
8位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
9位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949