瞳孔反射(対光反射・輻輳反射)の見方、眼球運動の試験-中枢神経系アセスメント
- 公開日: 2016/6/24
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瞳孔反射の見方
瞳孔反射は対光反射や輻輳反射により検査しますが、瞳孔は明るいところでは収縮するので、できるだけ暗い場所で行うとよいでしょう。また、高齢者は若年齢者に比べ瞳孔が縮小していることが多くあります。
瞳孔が極めて小さい(針の先ほど)場合は、橋の障害か、モルヒネ中毒、有機リン中毒が、両方とも散大している場合はアトロピンなどの中毒が考えられます。瞳孔が散大し、対光反射も消失している場合は、脳幹の機能が失われていることを示します。
対光反射
患者さんに正面を見てもらい、ペンライトなどの光を斜めから瞳孔にあてて、光によって瞳孔が収縮するかどうかをみます。
輻輳反射
患者さんの正面に立ち、1mほど先の実施者の指先の1点を凝視させ、指を動かして患者さんの鼻先2~3cmくらいまで近づけます。遠くを見るときに瞳孔は拡大し、指が接近すると同時に収縮します。
そのほか、瞳孔に異常がないか確認します(下図)。
眼球運動の試験
眼前30~50cmに実施者の指を立て、「頭を動かさずに目だけで指を追ってください」と指示し、指を左右上下にHを描くように動かします(下図)。その際、片手で頭か顎を軽く押さえておきます。こうすることで注視障害を補正しようとする頭の回転を手で感じることができます。
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テクニック 視診のコツ
特異肢位の観察
間脳・脳幹に機能異常が生じた場合、意識レベルの低下、異常な呼吸パターン、中枢性過高熱、脈拍異常(脈圧の大きな徐脈)、クッシング現象などのほか、除皮質硬直肢位や除脳硬直肢位といった特異な肢位がみられることがあります(下図)。
頭痛の見分け方
まずは、緊急性の高い疾患かどうかの鑑別を行います。緊急性の高い疾患とは、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎などの頭蓋内疾患です。意識レベルや項部硬直の有無、瞳孔所見を確認し、患者さんからは、痛みの発生に伴うエピソード、痛みの性状、部位、発現時期と持続時間、増悪・軽減因子などについて聴取します。
突然起こる激しい痛みではくも膜下出血や脳出血などが、目の奥や周囲の痛みでは緑内障が、拍動性のこめかみの痛みでは側頭動脈炎が疑われます。
頭痛に伴って悪心・嘔吐、発熱、めまいなど他の随伴症状がないかをアセスメントします。悪心・嘔吐がある場合は、偏頭痛や頭蓋内圧亢進の可能性が考えられます。
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