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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Hunt and Kosnik分類

  • 公開日: 2021/6/3

Hunt and Kosnik分類は何を判断するもの?

 Hunt and Kosnik分類は、くも膜下出血の重症度を判定するために用いられるスケールです。1974年に考案され1)、頭痛などの自覚症状、項部硬直や神経的失調の有無、意識状態などの項目から重症度を7つの段階に分類しています。


 くも膜下出血の治療方針は重症度によって大きく異なるため、発症段階の正確な重症度判定が非常に重要と考えられています。Hunt and Kosnik分類では、発症時のグレードが高いほうが重症度は高く、グレードが低いほど予後はよいとされています。


 一方で、グレードが低い場合でも、死に至るケースや後遺症を残すケースは少なくありません。くも膜下出血患者さんのよりよい予後を叶えるには、発症直後の管理だけでなく、脳血管攣縮や再出血などの管理を徹底して行っていくことも大切です。


Hunt and Kosnik分類はこう使う!

 Hunt and Kosnik分類は自覚的・他覚的症状によって重症度を7つの段階に分類しています(表)。


表 Hunt and Kosnik分類

Grade0
未破裂の動脈瘤
GradeⅠ
無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直がある
GradeⅠa
急性の髄膜あるいは脳症状はないが、固定して神経学的失調がある
GradeⅡ
中等度から強度の頭痛、項部硬直はあるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はない
GradeⅢ
傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示す
GradeⅣ
昏迷状態で中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
GradeⅤ
深昏睡状態で除脳硬直があり、瀕死の様相を示す

重篤な全身性疾患、例えば高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、または慢性肺疾患、または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す


Hunt WE,et al:Timing and perioperative care in intracranial aneurysm surgery.Clin Neurosurg 1974;21:79-89.より引用


 くも膜下出血は重症度によって治療方針が大きく異なるため、来院時の正確な重症度判定が必要です。Hunt and Kosnik分類はCT所見や年齢などの要因に関係なく、臨床所見のみで重症度を判定することができます。くも膜下出血発症直後の患者さんに対応した際は、速やかに臨床所見を把握して正確な判定を下すことが大切です。


Hunt and Kosnik分類の結果を看護にこう活かす!

 Hunt and Kosnik分類は、くも膜下出血の治療方針を決めるための大切なスケールです。医療機関によって手術や血管内治療の適応となるグレードは異なりますが、自院で積極的な治療対象となるグレードの患者さんに対しては、速やかに手術や血管内治療を行えるよう手術室や病棟と早めに連携を取ることが重要です。


 また、積極的な治療対象とならない患者さんに対しても、再出血予防のための血圧管理、呼吸管理などを徹底して行いましょう。


引用文献

1)Hunt WE,et al:Timing and perioperative care in intracranial aneurysm surgery.Clin Neurosurg 1974;21:79-89.

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