Hunt and Hess分類
- 公開日: 2021/6/17
Hunt and Hess分類は何を判断するもの?
Hunt and Hess分類は、くも膜下出血の重症度を判定するために用いられるスケールです。
現在、国際的に用いられる主なくも膜下出血のスケールは、Hunt and Hess分類、Hunt and Kosnik分類、WFNS分類の3つがあります。このなかで、Hunt and Hess分類は最も古くから用いられているスケールであり、1968年に提唱されました1)。
Hunt and Hess分類では、頭痛などの自覚症状、項部硬直や脳神経症状の有無、意識状態などの自覚的・他覚的臨床所見から重症度を5段階に分類しています。
くも膜下出血の予後は臨床所見以外にも、CT所見、年齢、全身性疾患の有無などによって左右されますが、このスケールでは臨床所見のみで重症度が判定されます。
くも膜下出血の治療方針は発症時の重症度によって大きく異なるため、スケールを用いた正確な重症度判定を行うことが大切です。
Hunt and Hess分類はこう使う!
Hunt and Hess分類は、自覚的・他覚的臨床所見によって、くも膜下出血の重症度を5つのグレードに分類しています(表)。
表 Hunt and Hess分類
GradeⅠ | 無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直がある |
GradeⅡ | 中等度から強度の頭痛や項部硬直があるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はない |
GradeⅢ | 傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示す |
GradeⅣ | 昏迷状態で中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある |
GradeⅤ | 深昏睡状態で除脳硬直があり、瀕死の様相を示す |
Hunt WE,et al:Surgical risk as related to time of intervention in the repair of intracranial aneurysms. J Neurosurg 1968;28(1):14-20.を引用
くも膜下出血の死亡率は約10~67%2)、3)、4)との報告もあり、よりよい予後を導くには急性期の適切な治療と管理が必要となります。くも膜下出血の治療方針は発症時の重症度によって異なるため、発症後は速やかに重症度を判定し、方針を決定しなければなりません。
Hunt and Hess分類は臨床所見のみで重症度を判定できるため、くも膜下出血が疑われる患者さんが来院した際には、速やかかつ正確に臨床所見を把握してグレード分類をしましょう。
Hunt and Hess分類の結果を看護に活かす!
クリッピング手術や血管内治療など、くも膜下出血に対する積極的治療の適応となる重症度は医療機関によって異なります。
自院の基準で積極的治療の適応となる患者さんに遭遇した場合は、手術室や病棟などと連携を取りながら速やかに治療に移行できる体制を整えます。
また、積極的治療の対象とならない患者さんに対しても、血圧や呼吸などの全身管理を厳密に行いながら、急変に対応できるよう備えておくことが大切です。
引用文献
1)Hunt WE,et al:Surgical risk as related to time of intervention in the repair of intracranial aneurysms. J Neurosurg 1968;28(1):14-20.
2)J van Gijn J,et al:Subarachnoid haemorrhage:diagnosis, causes and management. Brain 2001;124(Pt 2):249-78.
3)Taylor B,et al:Factors affecting outcome after surgery for intracranial aneurysm in Glasgow. Br J Neurosurg 1991;5(6):591-600.
4)Neil-Dwyer G,et al:Outcome after aneurysmal subarachnoid haemorrhage:the use of a graphical model in the assessment of risk factors. Acta Neurochir (Wien) 1998;140(10):1019-27.