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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

WFNS分類

  • 公開日: 2021/6/28

WFNS分類は何を判断するもの?

 WFNS分類は、くも膜下出血の重症度を判定するために用いるスケールです。


 このスケールでは、くも膜下出血の予後を左右する因子であるCT所見、全身性疾患の有無、年齢などは考慮せず、臨床所見のみで判定を下します。具体的には、意識レベルを示す「GCSscore」と、失語や片麻痺などの主要な局所神経症状の有無によって5つのグレードに分類しています。


 現在、くも膜下出血患者さんの自覚的・他覚的臨床所見によって重症度を判定する国際的なスケールには、主にHunt and Hess分類、Hunt and Kosnik分類、WFNS分類の3つがありますが、WFNS分類は最も新しく提唱されたスケールです。


 くも膜下出血の治療方針は発症時の重症度によって大きく異なるため、正確かつ迅速な重症度判定が大切です。WFNS分類は、Hunt and Hess分類やHunt and Kosnik分類と比較するとグレード分類が単純であるため、緊急を要するくも膜下出血発症患者さんの初期対応時に適していると考えられています。


WFNS分類はこう使う!

 WFNS分類は、GCSscoreと主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)の有無によって、くも膜下出血の重症度を5つのグレードに分類しています(表)。


表 WFNS分類

Grade GCS score
局所神経症状(失語あるいは片麻痺)
15
局所神経所見なし

14~13局所神経所見なし
14~13
局所神経症状あり
12~7
局所神経症状の有無は不問
6~3局所神経症状の有無は不問

Report of World Federation of Neurological Surgeons Committee on a Universal Subarachnoid Hemorrhage Grading Scale. J Neurosurg 1988;68(6):985-6.より引用


 くも膜下出血は未だ死亡率が高い疾患の一つです。発症後の再出血や脳血管攣縮などにより予後が悪化することも多く、早急な治療と管理が必要となります。くも膜下出血の治療方針は発症時の重症度によって異なるため、速やかに重症度を判定して治療方針を決めることが大切です。


 WFNS分類は、CT所見や合併症の有無など、くも膜下出血の予後を左右する他の因子を考慮せず、臨床所見のみでグレードを判定することができます。くも膜下出血が疑われる患者さんの初期対応に当たった際は、速やかに意識レベルや神経症状を把握し、正確な判定が行えるようにしましょう。


WFNS分類の結果を看護に活かす!

 WFNS分類は、くも膜下出血の重症度を判定して治療方針を決めるために用いられるスケールです。


 くも膜下出血に対するクリッピング術や血管内治療などの積極的治療の適応は医療機関によって異なりますが、自院の積極的治療適応に該当する重症度の患者さんに遭遇した場合は、手術室や病棟、検査室などと連携を取って速やかに治療へ移行できる体制を整えましょう。


 また、積極的治療の適応外である重症患者さんに対しては、死期が迫っている可能性が高いことを考慮し、徹底した血圧や呼吸などの状態確認と管理を行うことが大切です。

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