腹部のアセスメント~打診・触診・聴診・視診のポイント
- 公開日: 2021/5/14
腹部のアセスメントとは
腹部のアセスメントは、その部位に何の臓器があるかを考えながら行いましょう。また、1つのことで判断するのではなく、総合的に結果をみて判断します。
訪室した際に患者さんに困っていることはないかを聞き、何らかの訴えがあった場合は、その症状に沿ったアセスメントをしていきます。触診や打診は患部に近い部位で行うと、疼痛を伴うことがあるため、適宜声かけをしながら行います。
手術後の患者さんでは、合併症の有無についても確認しましょう。観察時は、創部やドレーン類の固定の剥がれがないかも確認します。
腹部アセスメントの流れ
①患者さんへ説明し、同意を得る
患者さんへ説明し、アセスメントを行うことへの同意を得ます。
②環境整備を行う
カーテンを閉め、タオルをかけ露出部を最小限にするなど、プライバシーを確保してから行うようにしましょう。
露出による寒さを感じないよう、室温の調整を行います。
②腹部を露出する
患者さんにベッド上に横になってもらい、腹部を露出します。基本的には仰臥位で行います。仰臥位になり膝を屈曲させることで腹部の緊張を解きます。
④アセスメントを行う
患者さんへの侵襲が少ない順であるという理由から、視診→聴診→打診→触診の順に行います。打診はすべての患者さんに行うわけではなく、必要時に行います。
腹部アセスメントのポイント
視診
視診では、以下の観察を行います。
腹壁のヘルニアのある患者さんの場合は、まずは立位で観察し、その後、仰臥位を取ってもらいます。
手術後の患者さんの場合では、手術創に発赤、腫脹、疼痛、滲出液といった感染徴候がないかを確認します。また、ドレッシング材やドレーンの固定による皮疹や水泡などの皮膚トラブルについても見逃さないよう注意深く観察し、これらがみられた場合は皮膚保護剤を使用するなどのケアを行います。
聴診
聴診は、腸蠕動音の聴取が主な目的のため、腸の走行に沿って聴いていきます。具体的には、小腸にあたる真ん中と大腸の走行に沿って聴きます。
聴診する際は、聴診器の膜面を皮膚に密着させて聴診します。
腸蠕動音については、異常かどうかの判断ができるようになりましょう。腸蠕動音が全くない、亢進している、どちらの状態も腸閉塞または麻痺性イレウスの可能性がありますが、「亢進している=異常」というわけではありません。聴診内容に加え、患者さんの自覚症状や腹部の張り感、排ガスの有無などから判断します。
金属音はイレウスの徴候であり、聴取される状態は明らかに異常です。もし聞こえた場合は、すぐに医師に報告しましょう。
そのほか、腹部動脈の血管雑音(大動脈瘤、腎動脈、内腸骨動脈の狭窄の有無)が聴取されることもあります。
触診
触診では、主に以下の点について確認します。