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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

CAGE(アルコール依存症スクリーニングテスト)

  • 公開日: 2023/3/3

CAGEは何を判断するもの?

 CAGE(アルコール依存症スクリーニングテスト)とは、アルコール依存症のスクリーニングを行う指標の一つです。名称は質問項目(cut down、annoy、guilty、eye opener)の頭文字をとったもので、欧米を中心に広く使用されており、適切な医療や支援へのアクセスに役立っています。

 同じくアルコール依存症のスクリーニングをするためのスケールとしては、新KASTやAUDITなどもありますが、中でもCAGEは、質問事項に対する回答の対象期間が定められていないため、調査時点までの全生涯にわたる評価が可能です。

 高齢者を対象とした問題飲酒のスクリーニング1)、2)やアルコール依存症の早期発見に役立ち、他のスケールよりも質問項目が少なく簡便に評価できるため、職場健診や社会的なアルコール問題の実態把握などで用いられることもあります。

CAGEはこう使う!

 CAGEは、回答の対象期間が定められておらず、全生涯における経験に基づいて回答します。具体的には、4つの質問に対して「ある」「なし」で回答します(表)。

 4項目のうち、2項目以上が「はい」の場合は、アルコール依存症の可能性が高いとされ3)、専門的な検査を受ける必要があります。

表 CAGE

cut down:お酒を飲む量を減らさなくてはいけないと思ったことがありますか?
annoy:お酒を飲むことを非難され腹を立てることがありますか?
guilty:お酒を飲むことに対して罪悪感がありますか?
eye opener: 迎え酒やいら立ちを抑えるためにお酒を飲むことがありますか?
市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン作成委員会:平成27年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業(障害者政策総合研究事業(精神障害分野)) 市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン.p.24.より引用(2023年2月15日閲覧) http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000646195.pdf

CAGEの結果を看護に活かす!

 アルコール依存症は、肝障害など健康面に影響を与えるだけでなく、家族も含めてさまざまな社会的問題を引き起こす疾患です。そのため、CAGEなどのスケールを用いて早期段階で発見し、適切な医療や支援につなげていくことが大切です。

 アルコール依存症が疑われる患者さんの看護では、スケーリングにより患者さんの状態を正しく把握したうえで、行動変容を促したり、健康観察を行えるとよいでしょう。特に、CAGEで2項目以上が該当する場合はアルコール依存症の可能性が高く、決められた治療方針を守れずに飲酒行動をすることもあり、注意が必要です。

 また、アルコール依存症が疑われる患者さんは、肝炎や肝硬変、糖尿病、うつ病など、何らかの合併症をもつことも多いため、健康状態を正しく把握することが求められます。

引用・参考文献

1)J. Beullens,et al:Screening for alcohol abuse and dependence in older people using DSM criteria: a review.Aging & Mental Health 2004;8:76-82.
2)S A Maisto,et al:Contrasting self-report screens for alcohol problems: a review.Alcohol Clin Exp Res 1995;19(6):1510-6.
3)J A Ewing:Detecting alcoholism.The CAGE questionnaire.JAMA 1984;252(14):1905-7.
●廣尚典,他:厚生労働省科学研究費補助金(健康科学総合研究事業)成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究 分担研究報告書.アルコール依存症のスクリーニングテストとしての質問票調査の有用性およびその実施上の留意点に関する検討.p.25-31(2023年2月15日閲覧) https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2004/044071/200401276A/200401276A0002.pdf

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