バージャー病の重症度分類
- 公開日: 2023/5/8
バージャー病の重症度分類は何を判断するもの?
バージャー病の重症度分類は、臨床所見からバージャー病の重症度を5つの段階に分類するスケールです。
バージャー病は、四肢の末梢血管に閉塞が起こり、四肢や指趾への血流が低下して、冷感、しびれ、蒼白化、潰瘍、壊死などの虚血症状が生じる疾患です。下肢に発症した場合は、間欠性跛行や安静時疼痛を引き起こし、歩行困難となるケースもあります。
バージャー病は喫煙者に発症することが多く、禁煙して諸症状への対症療法を行っていくのが治療の基本です。重症化すると手足の切断が必要になるケースもあるため、速やかな診断と治療を開始する必要があります。治療方針の決定や見直しに、バージャー病の重症度分類による評価が役立ちます。
バージャー病の重症度分類はこう使う!
バージャー病の重症度分類では、臨床所見からバージャー病の重症度を評価します(表)。また、この重症度分類は、医療費助成制度の対象かどうかを判断する際にも使用します。バージャー病は難病指定されている疾患の一つですが、現在では3度以上が医療費助成制度の対象となっています。
表 バージャー病の重症度分類
1度 | 患肢皮膚温の低下、しびれ、冷感、皮膚色調変化(蒼白、虚血性紅潮など)を呈する患者であるが、禁煙も含む日常のケア、または薬物療法などで社会生活・日常生活に支障のないもの |
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2度 | 上記の症状と同時に間欠性跛行(主として足底筋群、足部、下腿筋)を有する患者で、薬物療法などにより、社会生活・日常生活上の障害が許容範囲内にあるもの |
3度 | 指趾の色調変化(蒼白、チアノーゼ)と限局性の小潰瘍や壊死または重度の間欠性跛行を伴う患者。通常の保存的療法のみでは、社会生活に許容範囲を超える支障があり、外科療法の相対的適応となる |
4度 | 指趾の潰瘍形成により疼痛(安静時疼痛)が強く、社会生活・日常生活に著しく支障を来す。薬物療法は相対的適応となる。したがって、入院加療を要することもある |
5度 | 激しい安静時疼痛とともに、壊死、潰瘍が増悪し、入院加療にて強力な内科的、外科的治療を必要とするもの(入院加療:点滴、鎮痛、包帯交換、外科的処置など) |
バージャー病の重症度分類の結果を看護に活かす!
バージャー病は一般に予後良好ですが、適切な治療や生活改善を行わないと、四肢切断など重篤な後遺症を残すことがある疾患です。重症度を正しく把握したうえで病変部位や程度などを確認し、状態観察、ケアなどに活かすようにしましょう。バージャー病の予後は、血圧や血糖コントロールの状況に左右されることもあるため、全身状態の把握も必要です。
重症度にかかわらず、治療の基本は禁煙です。看護師には、患者さんが継続的に禁煙に取り組めるように支援していくことが求められます。ほかに、患肢の保温・保護に努め、靴づれなどの外傷にも注意するよう指導します。
参考文献
●日本循環器学会,他:血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版).(2023年4月18日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_isobe_h.pdf
●日本循環器学会,他:2022 年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン.(2023年4月18日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf