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【連載】がん治療によって起こる皮膚障害へのケア

第1回 基本をおさえておこう! がん治療による皮膚障害【PR】

  • 公開日: 2023/11/29
  • # がん
  • # スキンケア
  • # 注目ピックアップ

がん治療によって起こる皮膚障害

 がん治療には放射線治療、外科的治療(手術)、薬物療法などがあり、それぞれに特徴的な皮膚障害が起こります(表)。

表 がん治療で起こる主な皮膚障害

治療 主な皮膚障害
放射線治療 放射線皮膚炎
細胞障害性抗がん薬 紅斑、発疹、皮膚乾燥、皮膚掻痒、色素沈着、爪甲剥離、粘膜炎
分子標的薬 ざ瘡様皮疹、爪囲炎、手足症候群、脂漏性皮膚炎
免疫チェックポイント阻害薬 皮膚掻痒、播種状紅斑丘疹型、尋常性乾癬、扁平苔癬、類天疱瘡
外科的治療 手術創の治癒遅延、手術創周囲に湿疹

 放射線は細胞周期が短いところにダメージを与えるので、表皮の基底層や皮脂腺、汗腺、毛包に障害が起こります。そのため皮膚が赤くなり、ヒリヒリしたりかゆくなったりする放射線皮膚炎や、皮膚の乾燥、毛が抜けるといった症状が現れます。

 細胞障害性抗がん薬では皮膚の細胞にいろいろなダメージが起こり、かゆみ、ブツブツが出る、色素沈着、毛が抜ける、爪が浮くといった皮膚症状がみられます。

 分子標的薬がターゲットとする分子は皮膚の細胞にも発現しているため、さまざまな皮膚障害が生じます。特に皮膚障害が起こりやすいのは、EGFR(上皮成長因子受容体)阻害薬とマルチキナーゼ阻害薬です。EGFR阻害薬では、ざ瘡様皮疹、皮膚の乾燥、脂漏性皮膚炎、爪囲炎などが生じます。マルチキナーゼ阻害薬では手足症候群が生じ、かかとや指の腹など、圧力が加わるところに限局して現れる傾向があります。

 免疫チェックポイント阻害薬の場合、皮膚症状は高頻度にみられ、比較的軽度のものが多い傾向にあり、自己免疫疾患のような症状が出現します。多いのは赤いブツブツが出る播種状紅斑丘疹型と呼ばれるもので、これはある程度薬でのコントロールが可能です。その一方、重症の薬疹が現れることもあるので注意が必要です。

 外科的治療後は血流や発汗障害が生じるため、手術創の周囲に湿疹が現れやすくなります。また血管新生を阻害する分子標的薬を使用すると、傷の治りが遅くなることがあります。

皮膚障害の予防・ケアの基本と看護師の役割

 皮膚障害の予防の基本は保湿と保清です。発症前から予防のため、また発症してからもしっかり保湿・保清を行います。皮膚に症状が出始めたときにすぐに対応できるように、どんな症状が出やすいのかを患者さんに伝え、知識として共有しておくと、皮膚の観察やケアがしっかりできるようになります。

 がん治療中に皮膚障害が生じた場合、それががん治療によるものなのか、それとも単にシャンプーや洗剤、外用剤など日常生活で使用するものでかぶれたのかなど、悪くなっている要因を判断する必要があります。そのためには、その症状がいつから現れたのか、どんなときに出てくるのかなどを、正確に把握する必要があります。

 また、患者さんの生活習慣を聞いておくことも大切です。お風呂の湯温はどのくらいを好むか、普段の保湿はどうしているか、趣味は何でどんなことをしているのかなどを、ちょっとした会話の際に聞き出します。

 聞き取った患者さんの生活習慣の中に、皮膚障害を悪化させる要因になりそうなものがあったら、それとなく、その要因を患者さん本人はどう感じているか聞いてみるとよいかもしれません。「怖いから洗わない」とか、「痛そうだからシャワーもしない」「何か塗るとヒリヒリするから塗らない」と言う患者さんは少なくありません。しかし、それでは保湿、保清ができず、皮膚障害は悪化していきますので、どうして怖いと思うのかを聞き取り、対処法を導き出していきます。

 こういった患者さんの話を医師が診察中に聞くのは難しいので、やはり看護師が何気ない会話の中で聞き取ることが大切です。患者さんも、看護師のほうが本音を話しやすいということもあるでしょう。

 スキンケアに関しては、どんな石けんや洗浄剤でもよいので泡で洗いきれいに保つこと、保湿剤もどんなものでもよいので、本人の使用感がよいものを継続し保湿を行う指導することを基本とします。最初から細かい指導をしたり、これはダメ、あれもダメと言い過ぎると、どうしたらよいかわからなくなってしまうので、はじめは「こんなふうにするとよいですよ」と大枠のアドバイスをするようにしています。そうすると患者さんが、「じゃ、これはどうですか?」と聞いてきますので、その方法が間違っていたら「こうしたほうがよいですね」などと修正します。「何を使ったらよいですか?」と聞かれたら、石けんや保湿剤は街のドラッグストアで入手できるものでよいこと、香料があまり入っていないものがよいことを伝えます。怖がる必要はなく入浴しても構わないことや、保湿剤入りの入浴剤を使うと全身の保湿ができて便利なことなど、患者さんに合わせてアドバイスをします。

図 皮膚障害の例

がん治療による皮膚障害の例




敏感肌にも使えるミノンシリーズ

ミノン全身シャンプー泡タイプ

第一三共ヘルスケア_ミノン全身シャンプー泡タイプ


顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。


[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)



ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム

第一三共ヘルスケア_ミノン全身保湿ミルク


敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。


[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g


詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/


がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


第一三共ヘルスケアのはだカレッジ画像

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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