第2回 継続的な保湿が大切! 放射線治療によって起こる皮膚障害【PR】
- 公開日: 2023/12/6
8〜9割の患者さんにみられる皮膚障害
放射線は細胞周期の短い表皮の基底層や毛包、皮脂腺、汗腺などにダメージを与え、皮膚の乾燥や放射線皮膚炎などを引き起こします(図)。皮膚障害は照射する線量が多いほど生じやすく、低線量なら発赤程度で済むこともありますが、総線量が増えると、皮膚に潰瘍が生じたり、治療後何カ月か経過したころに晩期障害が起こったりすることもあります(表)。
図 皮膚の構造と放射線による皮膚障害
放射線は皮膚を通過して病巣に達するため、照射された部位の皮膚は放射線の影響を受ける。表皮最下層の基底細胞は細胞分裂が盛んで、放射線照射により影響を受けやすい
表 放射線性皮膚炎の発症時期と症状
照射線量* | 身体所見 | 症状 |
20〜30Gy | 発赤、紅斑、脱毛 | 乾燥感、掻痒感 |
30〜50Gy | 乾燥、乾性落屑 | 乾燥感、熱感、掻痒感、軽度の疼痛 |
50〜60Gy | 水疱、びらん、滲出液、出血 | 強度の掻痒感、疼痛 |
*1回2Gy週5回の通常分照射の場合
*皮膚への線量
遠藤貴子:放射線性皮膚炎に対するケア.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 2013;17(4):259.より引用
放射線治療による皮膚障害は、8〜9割の患者さんに出現していますので、照射前から照射後まで、すべての患者さんに保湿が必要です。皮脂腺が障害されていますので、保湿を怠ると皮膚が乾燥してガサガサになり、皮膚バリア機能が失われて、ヒリヒリする、かゆい、擦れると痛いといった症状が現れやすくなります。
ケアのポイント
保湿剤はどんなものでもかまいません。使用感で好みのものを選び、クリームなら1日1回以上、ローションなら1日2回以上、スプレータイプなら1日3回以上使うことを目安とします。
皮膚炎があるときは触ったり擦れたりすると痛いので、保湿剤は伸びがよく、擦らずに塗れる乳液やローション、スプレータイプが好まれます。びらんが生じた場合は、保湿剤を塗ったあとにガーゼや被覆材で保護しますが、この場合には、さらっとして皮膚にべたつきが残らない液状のものが使いやすいでしょう。
照射中に皮膚が赤くなってヒリヒリしてきたり、触ると痛いといった場合には、副腎皮質ステロイド外用薬を使うこともあります。
皮膚の菲薄化、乾燥や色素沈着といった治療によって生じた症状は、治るまで半年〜1年くらいはかかりますが、徐々に改善していきます。照射終了後も継続して、保湿などのケアを根気よく続けることが大切ですから、「ここまで放射線治療をがんばってきたのだから、皮膚もしっかり治していきましょうね」と、スキンケアに前向きに取り組めるよう支援します。色素沈着は紫外線を浴びると濃くなる可能性があるので、遮光(日焼け止め)が必要です。日焼け止めもどんなものでもかまいませんが、汗で流れたり、拭いたり洗ったりしたらつけ直すことが大切です。スプレータイプは化粧の上からでも髪の毛にも使えて便利です。また日傘や遮光性の生地を使った服を着るのも効果的です。
看護のポイント
放射線治療を受ける患者さんの大半に皮膚障害が起きますから、皮膚炎の発症をいち早くキャッチし、皮膚科受診やステロイドの処方などの介入のタイミングを逃さないような対応が求められます。患者さんの状態の変化を知るためには、患者さんと看護師との会話の内容がとても参考になります。多くの患者さんは、「赤くなった」「ちょっとヒリヒリする」など気になることは、看護師に最初に話してくれます。こうした些細な会話や、いつもと違うことを言っていた情報、それに伴って観察した皮膚の状態は、必ず看護記録に残しておきましょう。そうすれば、のちに皮膚障害が明らかになったときに、いつ頃から異変があったのかをさかのぼることができ、皮膚科受診を決める重要な判断材料にもなります。またこういった記録は医師もみていて、その記録から、通常の診察ではみていなかったところに皮膚障害が現れていることに気づくこともあり、日々の診療の参考にもなります。
患者さんの中には、話好きで自分からいろいろ話してくださる方もいますが、治療のことで頭がいっぱいなのか、細かいことは話そうとしない患者さんも少なくありません。看護師は患者さんにとって一番話しやすい存在だと思いますから、照射線量などからそろそろ皮膚障害が起きているかもしれないと予測したら、「どうですか? 気になっていることはありますか?」と声をかけ、訴えを引き出し、記録に残しておきましょう。また看護師が患者さんの状態をみてそろそろ皮膚科受診が必要なのではと判断したら、早めに主治医や皮膚科医に伝えましょう。私の施設では、看護師から直接、皮膚科に連絡することもよくあります。
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