Bishopスコア(ビショップスコア)
- 公開日: 2024/6/1
Bishopスコアは何を判断するもの?
Bishopスコアとは、子宮頸管の熟化を評価するためのスケールです。
子宮頸管は子宮の下部に存在する、子宮腔と膣をつなぐ管状の器官です。妊娠中は、胎児を子宮腔内に保持するために子宮頸管は固く閉じられていますが、出産が近づくと、胎児が通過しやすいようにやわらかくなっていきます。これを頸管熟化といいます。頸管熟化が始まると、児頭の圧迫によって子宮頸管の開大・展退(子宮頸管が薄く短くなること)が起こり、胎児の通過、そして出産に至ります。
子宮頸管の硬さは検者の主観となりますが、一般的には「鼻翼の硬さ」を硬いと評価し、「口唇の硬さ」を中等度、「マシュマロの硬さ」をやわらかいと評価します。分娩の準備度や進行度、子宮収縮薬などの使用の是非、分娩誘発開始の目安を適切に見極めるためにも、Bishopスコアで子宮頸管の熟化を評価することは重要です。
Bishopスコアはこう使う!
Bishopスコアでは、頸管開大度・頸管展退度・児頭下降度・頸管硬度・子宮口位置の5つの指標をスコア化して合算し、合計点(13点満点)から子宮頸管の熟化を評価します(表)。
Bishopスコアが9点以上の場合は頸管熟化している状態とされ、分娩誘発の完遂率も自然陣痛による分娩と同程度と考えられているのに対し、6点以下では頸管熟化が不良とされています1)。『産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020』でも、『一般にBishopスコアが6点以下を「頸管熟化が不良」と判断することが多い』とし、頸管熟化が不良の場合は、器械的頸管拡張や頸管熟化薬による頸管熟化の促進を検討することとしています2)。
また、Bishopスコアが3点以下といったような、頸管熟化が非常に不良と判断される場合は、子宮収縮薬は原則用いないとしています2)。
表 Bishopスコア
因子 | 点数 | |||
---|---|---|---|---|
0 | 1 | 2 | 3 | |
頸管開大度(cm) | 0 | 1~2 | 3~4 | 5~6 |
頸管展退度(%) | 0~30 | 40~50 | 60~70 | 80~ |
児頭下降度 | -3 | -2 | -1~0 | +1~ |
頸管硬度 | 硬 | 中 | 軟 | ― |
子宮口位置 | 後方 | 中央 | 前方 | ― |
引用・参考文献
2)日本産婦人科学会,編:産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020.日本産婦人科学会事務局,2020,233-4.(2024年5月15日閲覧)https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf
●日本助産学会 ガイドライン委員会:エビデンスに基づく助産ガイドライン-妊娠期・分娩期・産褥期 2020.日本助産学会事務局,2020.(2024年月5月15日閲覧) https://www.jyosan.jp/uploads/files/journal/JAM_guigeline_2020_revised20200401.pdf
●周産期委員会:平成24年度専門委員会報告.日本産科婦人科学会雑誌 2013;65(6):1318-419.
●西島正博:分娩第1期の取り扱い(妊婦が入院したら).日本産科婦人科学会雜誌 1999;51(3):63-6.
●伊東宏晃:子宮頸管熟化と分娩誘発.日本産科婦人科学会雜誌 2007;59(9):405-9.